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平成11年度に完成した滝里ダム。 2門の自由越流頂と6条のオリフィスが並んでいる。自由越流頂は非常用洪水吐きであることが多いが,この自由越流頂の敷高は常時満水位となっており,常用洪水吐き兼非常用洪水吐きである。
流入量が洪水量に達するまではオリフィスゲートで貯水位維持操作を行う。流入量が洪水量に達した後は,ゲート開度を固定したオリフィスと自由越流頂を併用して,ゲート操作を伴わない洪水調節を行う(自然調節)。放流量が計画最大放流量となった以降は,貯水位の上昇とともにオリフィスゲートを閉めていくことで,一定量放流によるピークカットを行う。超過洪水に対応するただし書き操作の際には,オリフィスゲートを全開することとなる。
もし自由越流頂を非常用洪水吐き専用としたならば,常用洪水吐きとしてのオリフィスゲートが分担する放流量が大きくなり,さらに多くのゲートが必要となる。流域面積が広く,洪水調節時に処理すべき流量が大きいことを考慮し,ゲート設備数の減少と超過洪水時の操作の信頼性の向上を目的として採用された形式である。 自由越流頂とオリフィスの交互配置が困難で,かつこれらの放流量のバランスが大きく変化することから,自由越流頂とオリフィスそれぞれに専用の減勢工が設けられているのも,この洪水吐きの特徴である。
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