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今見ると普通の重力式コンクリートダムの顔つきをしている大野ダム。洪水調節用放流設備として高圧ラジアルゲートを堤体内に内蔵した我が国初のダムである。建設省が設計・施工し1960年度に竣工、管理は京都府に移管された。
戸溝がなく部分開で大流量を安定した状態で放流が可能なゲートとして、高圧ラジアルゲートが米国で開発され、1950年代に設置されるようになった。これを大野ダムに採用しようと考えた当時の技術者は、クレストからの水脈とコンジットからの水脈をオーバーラップさせることで、堤体下流面を導流部として有効に活用しようと考えたのである。堤体内に大規模なゲート及びゲート室を配置するため、この部分における堤体の応力集中について詳細な検討が行われている。その結果、放流管内径をコンクリート打設ブロック幅の1/3以下とし、ゲート室をできるだけ主応力が小さい位置に配置することで、鉄筋による補強で十分対応可能と判断され、採用に至っている。
また、放流水がゲート下流の堤体内を高速で流下する際に大量の空気を連行することから、その部分の圧力が極端に低下し流れが不安定になることが懸念された。そこで、ゲート下流に空気を供給する空気管について、海外の実測事例や水理模型実験による計測結果を用いて設計し設置している。
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