1月10日から21日まで、「EIZO ガレリア銀座」で開催されていたダム写真展「私の好きなダム」(主催:財団法人日本ダム協会)が、先週の土曜日、最終日を迎え、昨日、まだ雪がわずかに残る歩道を歩いて会場に行き、担当の方から展示物の返却を受けて、撤収を完了した。
写真展をやりたいとは、だいぶ前から思っていた。 ダム協会では、毎年写真コンテストを実施しており、今年は第9回を迎え、この1月末が応募の締め切りとなっている。この写真コンテストは、写真を画像データ(JPGファイル)で応募するもので、それをダム協会でA4サイズで印刷して、審査委員会ではその印刷された写真を見て、各賞の審査を行っている。そのため、私自身、同じ写真をモニターで見る機会もあるし、A4サイズに印刷されたものを見る機会もあって、両方を見比べるとだいぶ違うと感じることがよくあった。モニターで見てよく見える写真が印刷では必ずしもそうではない、あるいは逆にモニターでさしてよく見えない写真が印刷するとよく見える、そんなことをしばしば感じた。 写真はどういう形で見るのがいいのだろうか。ネット上などでダム写真がある意味では氾濫している最近の状況を考えると、写真の質を上げること、できるだけいい写真を紹介していくことが大事だと思えるが、そのためにも、モニター以外に、大きなサイズで印刷した写真を見る機会が必要ではないか、いい写真は大きく印刷した写真でとかねて感じていた。
それで、昨年の5月頃だったろうか、写真展ができそうな会場を探してみた。何カ所かあったが、どれも会場の借り上げ費用が10万円程度かかる。この負担は難しそうなので、公的な施設はどうかと探したが、どうも適当なところがない。これはだめかと思った頃に、今回の会場になった「EIZO ガレリア銀座」を発見。ダム協会から近いし、電話で聞いてみたところ、無料で、しかも管理は全面的に会場側でやってくれると言うことで、夢のような条件だ。早速、協会の写真担当者と一緒に、出向いて話を伺った。 電話の通り、出展無料、出展者はA3ノビのプリントした写真を16枚提出、展示場の側で額に入れて展示、管理は展示場の側が全面的に行うので出展者が会場にいなくてもいい、とのこと。ディスプレーを販売しているEIZOの製品を展示している場所で、2階の1角がギャラリーになっている。これはいいと、即座に予約を申し込んだ。かなり込んでいて、来年の1月まで空いていない、予約は秋から、と言うことであったが、無理を言って仮予約にしてもらい、正式には秋に決まることになった。
昨年の9月、EIZOから電話があった。正式に決まったとのこと。早速、テーマを「私の好きなダム」に決めて、ダムマイスターを中心に出展者を募集した。一人1枚を前提に、16名の出展者を集めなければならない。これが意外に大変だった。なかなか集まらない。当初、写真は出展者がプリントして、それをダム協会に提出することにして募集したが、そのうちにある方から、個人でプリントは大変なのでダム協会がプリントすることもできるようにしたらいいとのアドバイスがあり、プリント方法は自らと協会と、選択できるような形にして、再募集、さらに積極的にお願いなどもしてどうにかこうにか16名の参加者を確定できた。
出展して頂いた方を見ると、よく知られたダムマニアが勢揃い、これだけのメンバーがそろうのは貴重ではないかと思われた。出展作品を見ると、ダムも、ダムのとらえ方も出展者によりそれぞれで、並べてみるとその多様性に驚く。単独ではなく、並べてみることもまた貴重ではないかと思われた。
たまたま土木写真家の西山芳一先生とお会いする機会があったので、写真展を開催することを話し、できたら何か写真を出してくれませんかと頼んだところ、快諾していただいた。そして、即座に、「ダムは小屋平ダムがいい」と。どうも、特別出展された先生の写真は、思い入れのあるもののようだ。
西山先生の「小屋平ダム」 12月に急ピッチで準備作業を進めた。写真をダム協会に提出してもらったり、ダムの名前だけでは物足りないので説明文がほしいと言うことになり、出展者にコメントの文章を提出してもらったり、ポスターを作らなければとか、小冊子(作品目録)を作らなければとか、あれこればたばた。初めてで慣れないこともあるが、自転車操業方式で、この間の手間はなかなか大変だった。 PRもしなければと、出展者にもPRをお願いし、またダム協会のホームページやダム便覧にも掲載し、ツイッターにも書き込み、ダム関係者にも周知に努めた。 会場を見に行ったところ、大きなモニターが3台使えるようになっている。スライドショーをやるのがいいということだ。それで、年末に急遽ばたばたとスライドショーの準備。時間もないことだし、手持ちの写真ファイルからスライドショー用の写真を選ぶことに。手持ちの写真の中から、撮影者の了解がすぐに得られた3人の方の写真を選択、それだけでは足りなくてダム協会の写真も選択、合計500枚ほどの写真をUSBメモリーにコピー。
左側にモニターが3台 どうにか準備が整い、年が明けて1月5日に会場に持ち込み。西山先生は自ら会場に写真パネルを持ち込む。あとはEIZOの方がやってくれる。一安心。 出展写真の画像が入った小冊子(作品目録)が思いの外(作成者に失礼か?)よくできたので、PRも兼ねて開催の直前にダム便覧の「このごろ」で全ページを画像で公表した。ところが、これがあちこちから批判を受けてしまった。事前にどんな写真が展示されるかが分かったら見に来なくなる、こんなことは非常識、と言った内容。今振り返って、確かにそうかもしれないが、逆にだから見に来る人もいるだろうし、一定のPR効果はあったのではないかとも思う。どうなんだろうか。
いよいよ初日(10日)、午前中に様子を見に行く。展示された状況を見るのは初めてだが、16作品が額に入れられてきれいに並び、モニターも、用意した書籍類も並び、いい雰囲気。ところが、客がいない。平日の午前、訪れる客が少ないのは致し方がないのかもしれないが、やはり寂しい。
会場風景 全般的に見て、土曜日を除けば(日曜は会場が休み)、見に来て頂いた方は多くはなかった。ただ、来訪者は熱心な方が多く、写真に見入ったり、置いてあった本を読んだり、スライドショーを見たり、だいぶ時間をかけている方が多かった。また、遠方からの訪問者が多かったのにも驚かされた。展示場で記帳をしてもらったが、それを見ると、日本全国から見に来て頂いたことが分かる。よく知られたダムマニアやダム関係者の方も見に来られているが、それは案外少なく、一般の方が多かったという印象を持った。
展示した書籍類と記帳の様子 そして先週の土曜が最終日、昨日撤収を終え、あとは後始末が多少残るのみ。今回の写真展は、一応「第一回」と銘打っている。当然「第2回」はあるのかという質問も受けた。また、関西でもやってほしいという要望もあった。様々な条件が整わなければ実施はできず、気軽にやれるような状況にはないが、昨日の会場からの撤収の際に、来年の今頃またやらせてもらえるよう、仮予約をお願いしてきた。だいぶ希望者が多いようで、どうなるかは分からないとEIZOの担当の方から言われたが、実現可能性はどうなのだろうか。今回の経験で、やり方は大体分かったが。
出展者の皆様、見に来て頂いた方々、EIZOの方々など、今回お世話になった多くの皆様には大変ありがとうございました。第2回ダム写真展を開催することになりましたらまたご支援、ご協力をよろしくお願いします。
|