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水利権とダム(1)
−水利用のルール−

長 谷 部  俊 治
みずほ総合研究所 理事
1 水利用秩序への参入

(1)水資源開発のしくみ
 ダムによる水資源開発を説明するとき、よく使われる図がある。たとえば国土交通省水資源部のホームページには、次のような図が掲載されている。

図 − 1 水資源開発のしくみ
(http://www.mlit.go.jp/tochimizushigen/mizsei/c_actual/actual04.htmlより。)
 本来の河川流況は破線のようであったが、ダムによる貯留と補給によって実線に変わり、その結果安定的に利用できる水量が、AからA+Bに増えるということだ。Bがダムによる開発水量、ということになる。
 この説明は誤りではないが、簡略化されたモデルである。図1をもとに水資源開発の仕組みをより深く理解するためには、大きく三つの疑問に答えなければならない。

 第一は、そもそも河川の流況は毎年変わる。気象が違うだけでなく、長期的には気候変動による影響もあるだろう。また、取水など水利用の状況に応じて流況は変化するはずだ。破線はいったい何を意味するのであろうか。
 第二は、利用水量がAを超えるから水資源を開発するのだが、ではAが目一杯利用し尽くされているとどのように判断するのか。日々の水利用量は変動するし、社会経済条件によっても水利用の状態は変化していく。Aがもはや余裕が無い、と判断する意味は何か。
 第三は、貯留と補給が図のように正確に対応できるか。貯留可能量には限界があるほか、実際の流況の変動はもっと激しく、かつ予想できない。実線を正確に実現できるのだろうか。さらには、補給された河川水はその直下で取水されるわけではない。補給水を確実に利用できるという保証はあるのだろうか。

これらの疑問に対しての説明は、概略次のとおりである。

・ 破線は、渇水基準年の流況である。渇水基準年は水系ごとに決めるもので、基準地点の渇水流量(年間を通じて355日は流れている流量)が、10年に1回程度起きるような小さい値であった年とされる。つまり、利水計画は、10年に1回程度の渇水に耐えられるような安全度を確保するように策定するということである。

・ Aが目一杯利用されているかどうかは、河川を維持するに必要な流量と既存の水利用のために必要な流量とで決まる。河川水は、清潔の保持、塩害の防止、河口の閉塞の防止、景観の保全など河川固有の機能を確保するために常に一定流量が必要である。また、既に存在する水利用が安定的に可能となる流量も確保されている必要がある。基準渇水年の流況のもとで、これらの流量(正常流量)を優先的に確保したとき、もはや安定的な新たな水利用が不可能であるような場合に、Aは利用し尽されていると判断される。つまり、正常流量とAとが等しいということであり、このとき、新たな水利用のために、水資源開発が必要となる。
  なお、現に正常流量が確保されていない状況にある河川では、水資源開発の際に併せて正常流量を確保することが必要で、通常、開発した水資源の一部を充てて河川管理者が補給する。これが、不特定用水の補給である。

・ 貯留と補給は、ダムの操作規則によってその方法が定められ、恣意的な運用はできない。また、水量の予想を確実にするため雨量観測所その他の観測施設を設置するほか、補給も、常にBを確保するのではなく現実の水利用需要に即して行うなど、ダムの効率性を高めるよう体制を整えている。さらに、取水のための工作物も原則としてダム建設と一体的に設置するなど、補給した河川水を確実に利用できるようなしくみも確保している。

 だが、現実にはこれら三つの要素が絡み合い、水資源を開発する際には一筋縄では行かない問題に直面することが多い。
 たとえば、河川流量の減少は、冬季の降雪不足、空梅雨、日照りなどによって起きるが、渇水の原因がそのどれに当たるかによって図1の破線の形は大きく違う。また、既存農業用水の利用量は季節により違い、梅雨の時期には農業用水の利用量が増えるから図1のAは6月には凸のかたちとなるなど、正常流量は年間を通じて同じ値ではない。その結果、渇水基準年の選択は、水資源開発の必要性や開発量を大きく左右する。機械的に決めるわけにはいかないのである。さらには、長期的な気候変動を見据えれば渇水基準年の見直しも必要になるかもしれない。

 あるいは、正常流量の基礎となるのは、河川固有の機能を維持するために常に流れていなければならない水量であるが、舟運や漁業が重要であった時代と、景観や河川環境を重視する最近とではその流量は異なるはずだ。既存の水利用に必要な流量も、水田面積や農業技術の変化とともに変わるのは当然である。図1のAが利用し尽くされているかどうかは水資源開発が必要かどうかを決する最大のポイントであるが、これを正確に見極めるのは容易ではないのである。

 また、渇水時には節水などによって水利用量を削減することもできるから、「安定的な水利用」が何を意味するかも単純ではない。後に述べるが、河川法による水利使用許可に当たっては、原則として10年に一回程度生じる渇水時において取水可能でなければ許可されない。従って、「安定的な水利用」とは、おおむね10年に一度の渇水時にも(節水を強いることなく)水利用が可能な状態と理解してよいが、それはその水系全体の水利用の実態に依存する。既存の水利用量が減少すれば、安定度は高くなるであろう。あるいは、渇水時にどれだけ柔軟に対応できるかは水の用途によって異なるはずで、安定性の判断に当たってこのことを考慮することの是非も問題となろう。

 貯留・補給の制御に関して言えば、日本の河川は、洪水にたびたび見舞われ流量が激しく変化するのに対して、貯水可能なダム容量が限られているのが特徴であり、大きく貯めて、その後徐々に放流するというようなダム運用は難しい。流量変化を予測することが困難な中で、きめ細かく貯留・補給を運用せざるを得ないのである。多目的ダムにおいて洪水調節のための容量と補給のための容量とを厳しく分離しているのもそれゆえであるが、利水ダムの統合運用など、図1のBを確実に確保するための工夫が必要となるのである。

 また、補給される貯留水は、ダムサイトと取水地点との間は河川を水路として流れるのだが、その間に、支川や排水の流入、他の水利用による取水などにより流況や水質が変わることが多いし、渇水時などにおいて補給水が途中で侵される心配がまったく無いとは言い難い。ダムによる水資源開発は、貯留水の補給で終わりではなく、取水の確実性や水質まで視野に入れてその実効を確保しないとBを実現したことにはならないのである。

 このように、図1は水資源開発のしくみを理解するため単純化されたもので、その第一歩である。忘れてはならないのは、水資源開発は水利用の秩序に参入することであり、事業を円滑にすすめるには、水利用のルールを十分に理解しておくことが不可欠ということだ。そして、水利用秩序への参入は、様々な問題や課題を惹き起こしやすい。
では水利用秩序をめぐって現実にどのような問題が生じるのか、次回から、いくつかの事例をもとに考えてみたい。
(2)水利権の考え方
 水利用秩序を理解するには、その前提として、水利権制度を知っておかなければならない。
 よく知られているように、河川の流水を占用するには、河川管理者の許可を得なければならない(河川法第23条)。この許可によって得た河川水を利用する権限は、「水利権」と称されて水利用の秩序を律する基礎となっている。水利権が法律的にどのような性格のものであるかについては古くから議論があるが、物権的財産権であるとする説が有力である。(ここでは法律的な議論には触れないが、大まかな整理は注1を参照されたい。)

 水利権を理解するうえで大事なことは、水利権は河川法により創設された権利ではないことである。古来、河川水は主として農業用水として利用されてきており、旧河川法が制定された1896年(明治29年)には、すでに農業用水を中心とした水利用の秩序はほぼ形成済みであった。河川法による水利権の許可は、法制定以前から社会慣習として定着している、たとえば古田優先というような水利用の秩序を引き継ぎ、そのルールを尊重しながら運用されてきたのである。しかも、水利用の秩序自体も、社会経済の発展とともに水力発電や水道用水などの新たな需要が加わって、変貌を余儀なくされてきた。従って、制度の運用が社会実態を強く反映するのも当然なのである。

 さて、水利権の許可(流水の占用のほか、そのための工作物の新改築の許可を含めて「水利使用許可」と言われる)の手続きについては、河川法(旧河川法は1964年(昭和39年)に全面改正され、水利使用許可に関する規定も整備された)第38条から第43条の規定(水利調整のルール)があるほか、行政実例など、具体的な運用に委ねられているところが多い。そのなかで特に重要なのは許可の判断基準であるが、その概要は、たとえば国土交通省河川局のホームページ(http://www.mlit.go.jp/river/suiriken/seido/index.html)で知ることができる。

 同ホームページや河川法の解説書(たとえば建設省新河川法研究会編「逐条河川法」(1966年、港出版社))などによると、水利使用許可は、原則として次の四つの視点で判断するとされている。

@ 公共の福祉の増進

 水利使用の目的及び事業内容が、国民経済の発展及び国民生活の向上に寄与し、公共の福祉の増進に資するものであること。

A 実行の確実性

 申請者の事業計画が妥当であるとともに、関係法令の許可、申請者の当該事業を遂行するための能力及び信用など、水利使用の実行の確実性が確保されていること。
(主要な判断事項は、@事業計画の妥当性、A事業の遂行能力、B取水必要量の算定、C他の水利使用、漁業等との調整とされている。)

B 河川流量と取水量との関係

 河川の流況等に照らし、河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持に支障を与えることなく安定的に当該水利使用の許可に係る取水を行えるものであること。
(安定的かどうかは、おおむね10年に一回起きる渇水時にも取水可能であるかどうかで判断する。つまり、取水予定量は、基準渇水流量(10年に1回程度の渇水年における取水予定地点の渇水流量(年間を通じて355日を下回らない程度の流量値))から、河川の維持流量と他の水利使用者の取水量の双方を満足する水量(正常流量)を控除した水量の範囲内でなければならない。そして、安定的に取水可能でなければ許可されず、水資源開発が必要となる。なお、水資源開発が確実であれば、河川流量が図1のAを上回る場合のみ取水することなどを条件に、開発事業の完了に先行して取水が許可されることもあり、これを「豊水水利権」と称する。)

C 公益上の支障の有無

 流水の占用のためのダム、堰、水門等の工作物の新築等が河川法第26条第1項(工作物の新築等の許可)の審査基準を満たしているなど、当該水利使用により治水上その他の公益上の支障を生じるおそれがないこと。

 ここで注意しなければならないのは、許可を要するのは取水行為だけではないことだ。河川水を貯留することも許可を要する。利水ダムの常時満水位最低水位などは流水占用の許可の内容であり、流水の貯留と補給が水利使用許可の判断基準を満たさなければダム建設そのものが許可されない。たとえば、判断基準のBを満たすためには、図1の実線がBの下に割り込むことが起きるような水資源開発計画であってはならないのである。
 水利使用許可手続きに関しては、たとえば、取水必要量をいかに算定するか、安定的な取水可能性をどのように判断するか(特に、正常流量の見極めやそれに余裕があるかどうかの判断の難しさは、図1について考えた際に述べたところである)、競合する許可申請をどう扱うかなど、考えるべき多くのテーマがある。しかしここでは、これ以上の詳述を避けたい。事例の紹介の際に、その実態に触れることがあるだろう。

 では、水利権制度は、水利用の秩序をどのような考え方によって支えているのであろうか。@〜Cの原則から大きく二つの特徴が浮かび上がる。一つは公共公益性の尊重、もう一つは既存秩序の尊重である。

(公共公益性の尊重)

 まず、公共的な機能を妨げるような水利使用は許されない。洪水の流下の妨害(ダムや取水施設の設置により生じかねない)、河川水の減少による公益の阻害(水質汚濁、景観の損傷、河口閉塞、漁業被害など)等が生じてはならないということである。さらに最近は、河川空間のオープンスペース機能、河川湿地の自然生態系機能などの河川環境を損傷しないことも重視される。(水路式発電の許可の見直しにより、河川をバイパスする流量を削減することはその一つの例である。)

 また、利用の目的も、公共の福祉の増進に寄与することが求められる。公共物を独占的に使用するに足る社会的な合理性が必要であり、農業生産、電力供給、水道水供給のような公益性を帯びたものが優先されるのである。河川水は希少資源であるから、その配分を市場メカニズムに委ねるだけでは最有効利用は実現しない。ただし、何が公益に資するかについて一律に判断することは困難で、また社会経済の変化とともに変わるから、社会の実態に即した判断が必要なことは言うまでもない。(融雪用水の利用や用水路を利用した小水力発電などの取り扱いがその実例である。)

 さらに、公共公益性を維持し、水利権が遊休化するのを防ぐため、許可した目的どおりの利用が実現しているかどうかを随時チェックするとともに、許可の期間(一般に10年間、水力発電は原則30年間、だだし許可期間が経過しても、許可が自動的に失効することはない。)を定め、その更新の際に必要性や許可条件を改めて吟味することとされている。のみならず、水利権は自由に譲渡できず、譲渡に当たって河川管理者の承認を必要とする。そしてその際には、譲り受けようとする者の事業計画を説明しなければならないなど、水利権が財産として取引されることを防ぐ仕組みが整えられている(注2参照)。

 このように水利権の財産性が制約されているのは、河川水は、「河川の流水は、私権の目的となることができない。」(河川法第3条)という原則のもとに利用されているからである。しかし一方で、水資源開発には巨額の投資が必要であり、その負担によって実現した水利権が財産性を帯びるのは当然であろう。財産の使用に関して、公共公益性を確保するためにどのような制約を課するのが合理的であるかという問題を孕むのであるが、この問題については、後にさらに考える予定である。

(既存秩序の尊重)

 もう一つの既存秩序の尊重とは、水利用の秩序に与える影響は最小限に留めるという考え方である。現に存在する社会秩序や歴史的な経緯を尊重して、新しい水利使用はその秩序を阻害しないよう既存の水利用秩序に組み入れるのである。図1でAの確保が絶対的な条件とされるのはその現れでもあるし、水利使用許可の申請の際に「他の水利使用、漁業等との調整」が求められるのもそれゆえである。

 実際、たとえば農業用水の利用の多くは、旧河川法の制定をはるかにさかのぼる歴史を持ち、古くから水利用の秩序を形成してきたことはすでに述べたとおりである。それだけではなく、安定的な取水のために河川改修などの負担を担ってきたのは主として農村共同体であった。旧河川法が、社会慣行としての水利権を認めているのはそのためである。(旧河川法施行規程第11条。その規定は、新河川法にも引き継がれ、河川法施行法第20条第1項及び河川法第87条として残っている。なお、同法第88条の規定により慣行水利権は届出が必要とされている。)

 水利権に財産性を認めながら、その譲渡を承認にかからしめて厳格に運用しているのも、公共公益性を担保するためのみならず、水利用秩序を維持するためには水利権の私的取引を強く制限する必要があるという事情に応えるためでもあろう。水利用の調整を市場メカニズムに委ねることなく、社会的な合意や承認を優先することにより既存の水秩序を守ろうとする意思が現れていると言ってよい。

 また、秩序の尊重のためには水利使用の内容は透明でなければならない。そのため、水利使用の許可に当たっては、個々の水利使用ごとに、その利用の内容や条件を明確に示す「水利使用規則」が定められている。これにより、「水争い」を未然に防止するだけではなく、水利用の秩序が具体的に明らかになるのである。

 水利使用規則で定められている水利使用の内容は、目的、占用の場所、占用の方法、占用の量(占用の態様に応じて、水力発電における落差、流水の貯留における貯留量などを含む。また、農業用水の占用の量は、一般的には、苗代期、灌漑期、非灌漑期など期別に定められている。)、許可期間である。また、許可には、取水や貯留の制限、取水量の測定義務、工事の条件など、適正な河川の管理を確保するため必要最小限の条件が付されており、これも水利使用規則に明記されている。

 このように、水利権制度は、河川水が公共の資産であることを確保し、相互に影響関係にある水利用を調整しつつ、社会の実態に即して運用されている。行政的な判断に当たっても、現実的な妥当性を失われないための知恵が集約され、工夫がこらされる。事例の積み重ねが、水利権制度への信頼を高めてきたと言って過言ではない。しかし、この制度のもとで、ダム建設など水利用秩序への参入が円滑に合意され、それに伴う影響が適切に調整されていくとは限らない。水利用に伴う社会関係は、行政制度で律することが困難な緊張関係を孕んでいることが多いからである。その実態は、次回から紹介する事例に現れるはずである。
◇   ◇   ◇   ◇   ◇

(注1)水利権の法的な性格の特徴は、実質的に水を独占的に支配して利用すること、それを妨げるものを排除することなど、排他的な支配権能をもつことである。取水した河川水は水利権者以外の者は利用することができないし、上流での新たな取水や汚染排水などにより水利使用が妨げられるときには、その中止や損害の賠償を求めることができる。このような権限は、民法上、物権の作用として認められているが、民法は物権法定主義(物権は、法律で定められたもの以外は創設できない。民法第175条)を採用しており、水利権を物権とする法律は無い。しかし、判例では、(法定されていない)慣習法上の物権的な作用を認めており、水利権も物権的な権能を有するとされる(大審院明治32年2月1日判決、同明治38年10月11日判決など多数ある)。
 このような背景のもと、水利権を物権的財産権と捉える考え方が支持されているが、これは、実効的な支配の実態が社会的に認知されて権限が成立するという考え方(「ゲヴェーレ」と言われる)を反映したものと考えられる。しかし一方で、水利権は、水利使用の目的を逸脱した利用は認められないこと、河川に内在する制約に服することなど、その財産性は強い制限のもとにある。水利権を所有権などと同様なものと考えてはならない。その性質を捉えるためには、「社会的な認知」の意味や水利用秩序の実態を理解することが不可欠である。
 なお、「実効的な支配」を尊重する考え方は、水利使用許可により既存水利権者が損失を受けたときに、その補償の責任を負うのは許可を受けた者であるというルール(河川法第41条)などにも反映されている。水利権は、政府と私人との関係を律するのみならず、私人間を律する法的関係でもあるということである。
このように、水利権を十分に理解するには、水利用関係を基礎に置いた地域共同体のあり方や、法慣習と近代法制の整合性などの研究が必要となる。もちろん筆者にはその能力も用意も無いが、水利権が法社会学の恰好の研究テーマとなっているのはそれゆえである。
 最後に付記しておきたいが、慣行的に成立してきた水利権と、河川法の許可によって創設的に成立した水利使用とを、まったく同一の性質のものとして理解することが妥当かどうかについては十分な吟味が必要であると考える。ただ、両者は共通の水利用秩序に服するという点では違いが無い。

(注2)水利権の譲渡に当たっては、その目的が変わらないこと、水利使用のための工作物などを一体的に譲渡することに伴う場合であることなど、水利使用が継続されることが必須の要件である。水利組合の統廃合、電力会社の分割・再編などのような場合は、通常は水利権が譲渡されるのではなく許可に基づく地位が一般承継されると考えられるが、事業の売却などに伴う水利権の譲渡はあり得よう。そして、事業の縮小などに伴う余剰水利権を他の用途に転用するための譲渡は、水利使用の継続ではないから承認の要件を満たさないということである。
 そもそも水利権による水の使用量は、その目的を満たすに足る量に限られるとされており、不要な水を利用することまで許可されているわけではない。遊休化した水利権は失われ、それに充てられていた水は自然の姿に戻るのが原則である。このような水利使用のルールは、後に紹介する予定の農業用水の転用問題を考える際などに重要となる。
これは、「月刊ダム日本」に掲載されたものの転載です。
 

(平成18年1月作成)

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