福島県沿岸北部の相双地方は、東北地方の中でも溜池が多い地方です。 その中でも相馬市には、現在も使われていて諸元がわかっているものだけでも180ヶ所程、正確な諸元がわからなかったり、廃止され登録されていないものを含めると、大小200ヶ所を超えると思われます。 その中で堤高が15m以上の溜池が2基あり、今回はその2つの溜池を紹介したいと思います。
まず、昨年ダム便覧に追加されました、山田溜池について。 山田溜池は日下石川水系町場川、堤高20m、堤頂長93mのアースフィルダムになりますが、相馬市には"山田"とつく名称の溜池が4基存在し、そのうち、日下石川水系外の2基の山田溜池は堤高が10m未満になります。 ゼンリン住宅地図(相馬市)によると、ダム便覧に記載されている日下石川流域の山田溜池は、相馬市坪田地区の直線距離約1km範囲に、上流と下流の2基存在します。
山田溜池位置図 下流の山田溜池は所在地が相馬市坪田字山田になり、堤体側には改修されたとき(昭和43年)の石碑が立っており、石碑には“山田溜池”と記されています。 しかし、こちらの山田溜池は正式名称が"山田第一溜池"で、現在は使用されていないとの事。 相馬市の昭和期末、平成期の台帳に記載されておらず、福島県の台帳には廃止と記載されており、名称だけで諸元データなどは記載されていませんでした。 また堤高も15m以上にはほど遠く、5〜6m程度に見えます。
山田第一溜池 上流にある山田溜池ですが、こちらの所在地は、相馬市坪田字大沢口となりますが、堤高も15m以上には十分な高さで、堤頂長もほぼ一致。 溜池台帳に記載されている断面図、平面図共に形状が一致、台帳の写真とも一致します。 さらに、地震時の緊急点検の対象溜池になっていることなど。
山田溜池 このことから、所在地住所や石碑等で混同してしまいそうですが、上流の山田溜池がダム便覧に記載されているものとなります。
もう一つの溜池は、山田溜池と同じ日下石川水系にある、滝の沢溜池です。 こちらはダム便覧に登録されていませんが、灌漑用アースフィルダムで、堤高17.2mになります。断面図と平面図もあり、現地も確認したので間違いないかと思います。
滝の沢溜池(大きさの比較に堤体下の○の中に人が立ってます) 今回の溜池調査にご協力いただきました、相馬市役所様、そうま土地改良区様ありがとうございました。
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