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ダム温故知新
《第1回》 成相池堰堤を訪ねて

写真・文 安河内 孝

水中に静かに佇む成相池堰堤と新しく築造された成相ダム(左奥)を望む
 大きい石を数多く使用した「重力式コンクリート堰堤」タイプのダムは全国にあるが、兵庫県が最も多いのではと思われる。淡路島の南側には「成相池堰堤」「上田池ダム」「猪ノ鼻ダム」と3箇所ある。「成相池堰堤」は、1999年その下流に重力式コンクリートの成相ダムが建設されたことで、その役目を終えている。この堰堤は、灌漑の為に造られ、この地域に貢献した由緒あるダムで、昭和12年に着工し、戦時中は一時中断、戦後25年に完成し、数多くの地元の方々に愛された堰堤である。

 その撤去については、いろいろと検討されたが、上部切欠きと下部取水塔を削孔することにより、安定上支障のない形状で保全されている。下部取水塔の穴は見ることが出来ないが、上部の切欠き部(写真・右)は見ることが出来るので、ダム技術者はその断面を一度見てもらいたい。表面のみで無く内部にも約50pの石が多数使用されているが、その石の下端に空隙がほとんど見られない。また、打継目も一体化している。漏水を懸念して、慎重に施工されたのが判る。

 新しい成相ダムは、曲線を数多く用い、非常に凝っている。型枠が大変だったのでは思われるが、成相池堰堤に配慮してのデザインにしたのではないかと思われる。
 新旧のダムを同時に見られる貴重なダムである。


取水塔と切欠き部
  成相池堰堤諸元

 所在地:兵庫県南あわじ市
 河 川:三原川水系三原川
 目 的:A
 型 式:重力式コンクリート
     (粗石モルタル造り)
 堤 高:33m
 堤頂長:113.3m
 着 工:1937
 完 成:1950


切欠き部のクローズアップ
(これは、「月刊ダム日本」からの転載です。)
[関連ダム]  成相池堰堤
(2011年5月作成)
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