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ダム温故知新
《第23回(最終回)》 柳瀬ダムを訪ねて

写真・文 安河内 孝

10年前、このダムについて新聞に掲載されていた。記事を読み感銘したのは「紀伊為一郎」である。恐らくこの名前を知っている方は皆無と思われる。岡山在住の彼は、愛媛県四国中央市(旧川之江市)の出身で、知人から1912年に銅山川疎水構想を持ちかけられ、このダムの事業の実現のために奔走し、更に私財を注ぎ込んだ。それにより県営事業として1937年に着手、戦後の1953年に完成、この分水実現により、宇摩平野の農業用水の確保と全国屈指の製紙産業都市に育つ重要な要素となり、現在でも使用されている。紀伊為一郎は、先祖から受け継いだ全財産を費やし、家庭を犠牲にして働いたため妻とも離別し、晩年は香川県観音寺で静かに過ごしたという。男はつらいものである。

撮影時、4基のゲート室のうち1基は建設当時のままであった。型枠が大変だったかと思われるが、曲線美があり、丸い窓を見ると何かほっとする。また、湖の名前が「金砂湖」と洒落ている。江戸時代に砂金が取れたことから名付けられている。


(これは、「月刊ダム日本」からの転載です。)
[関連ダム]  柳瀬ダム
(2014年10月作成)
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