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ダム温故知新
《第6回》 丸山ダムを訪ねて

写真・文 安河内 孝

下流からだと重なって見えるが、ダム直下流には吊り床版橋の「のぞみ橋」(手前)と古い吊り橋の「小和澤橋」が架かっている
当ダムは、国内初の100m級ダムとして戦争中の工事中断を経て、再度1950年に着手、1955年完成した。

このダムの最大の特徴は、本格的に重機機械工法を用いたことである。工事記録の映画や工事誌を見たが、いろいろな問題点に対して綿密に計画し、難工事にトライした事が分かる。特に洪水対策と、資機材の運搬には苦心している。その後、当ダムでの経験から開発された技術を用いて、佐久間ダムや黒部ダムが建設されている。ダム内部に入る機会があったが、丁寧に施工されていることが分かる。恐らく、そのままの状態でも数百年はその美しい姿を保つと思われるが、洪水調整のゲート操作が頻繁に行われることから23.4mの嵩上げが決定している。かなりの部分が残るが、その重厚で威風堂々とした姿は、我々の心に深く刻まれるであろう。

当地には、日本のシンドラーといわれたこの町の出身の杉原千畝の記念館があり、国指定重要文化財「旧八百津発電所」や珍しいタイプの吊り橋と共に、必見である。


そろそろ還暦を迎える堤体からは永年水圧を支えてきた重々しさを感じる
(これは、「月刊ダム日本」からの転載です。)
[関連ダム]  丸山ダム(元)
(2012年6月作成)
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