湯田ダムで試験湛水より50年ぶりの2014年6月16日に非常用洪水吐からの試験放流が行われた。
試験放流が行われるきっかけは2013年8月、湯田ダム流域の隣にある御所ダムで計画高水流量を1.5倍も上回る出水が発生した事。近年、計画規模を上回る出水が全国各地で頻発していて、湯田ダムでも非常用洪水吐を使用するような計画規模を上回る出水が起こるかもしれない状況にあるにもかかわらず、1964年竣工時の試験湛水による放流以来一度も放流を行った事が無いため、ゲート動作の確認や放流時の周辺環境への影響の確認等を行うためだ。
午前10時より放流が開始され、前半の三十分間で2cmのゲート開度により一門あたり毎秒2m3、六門合計毎秒12m3。後半の三十分間で4cmのゲート開度により一門あたり毎秒4m3、六門合計毎秒24m3の放流量になった。 管理支所の方からは「そんなに多く流すわけじゃないですよ」と伺っていたものの、いい意味で期待を裏切られ、その姿は想像以上に格好良く、多くの見学者がその迫力に大興奮の様子であった。
なお、試験放流は月曜日の午前中であったにもかかわらず、見学者の中には作業着を着た土木従事者と思われる方が多く見受けられた。湯田ダム管理支所長に感想を伺った際には「ゲートが開く瞬間を生で見られなかった事が残念だった」と仰っていた。もしかすると、ダム愛好家以上に土木従事者の方々にとっても大いに注目する試験放流であったのかもしれない。
|