with Dam☆Night 第2夜(10月26日)「水力発電」で、首都大学東京客員教授の竹村公太郎さんが講演。竹村さんは、長く河川行政に携わってこられ、最近では、「日本文明の謎を解く」(清流出版2003年)、「幸運な文明」(PHP研究所2007年)、「本質を見抜く力(養老孟司氏対談)」(PHP新書2008年)など、著書も多数、講演なども多く、幅広く活躍されている方だ。
この日は、「日本文明と水力発電 ーなぜ、京都で誕生したかー」と題し、「江戸のオイルピーク」、「封建から中央集権へ ー封建を破った鉄道ー」といった歴史的考察に始まり、「石油の20世紀の限界」、「日本に残されたエネルギーは?」・・・・と続く。いつもながらの視野の広いお話と、歯切れのいい発言、だんだんと引き込まれていってしまった。
講演風景 以下に、当日使用された資料を使わせて頂いて、記憶を頼りにその一部を紹介する。多分につまみ食い的で、不正確である点はご容赦頂きたい。
20世紀は、エネルギー源として石油を使うことによって発展してきた。しかし、石油を使い続けることには、明らかに限界が見え始めている。巨大油田の発見は、もうだいぶ前にピークを過ぎて、今やほとんどなくなっている。石油の供給量は、近い将来確実に減少する。需要量はこれからも増加するから、結局、石油価格の暴騰が起こる。価格が上がれば、石油があったとしても実際は使えなくなる。
水力は、日本に残されたエネルギーだ。水循環うまく利用することによって、エネルギーを生み出すことが、まだまだ可能だ。既存ダムを嵩上げすれば、その効果は大きい。同じ10mでも、上部の10mは、下部に比べて遙かに大きな貯水容量の増加をもたらす。夕張シューパロダムは、堤高67.5mから110.6mへ、37mの嵩上げだが、これで貯水容量は、87百万m3から427百万m3へ、ほぼ5倍になる。
嵩上げの効果を織り込んで、2100年の水力発電量予測を行った研究成果がある。2100年時点で、年間約1900億kwhの水力発電が可能だ。この時点の需要を、現状の1人当たり使用量20%増しとして推定し、供給量を、原子力は20%増し、再生エネルギーは5倍として推定すると、残りは約1900億kwhの水力発電で需給がバランスする。水循環をうまく利用し、日本列島をエネルギー列島に転換することが可能だ。
|