7月1日(金)の夜、東京の中央区月島社会教育会館でwith Dam☆Night2016「カンパイ! 傍楽(はたらく)ダム」があった。東京のwith Dam☆Nightも今回が5回目。
司会はいつもの通りダム協会の中野さん。今回も恒例のネット中継があり、いつも通りtakaneさんが担当。客席の最前列に機械を据え付けて、開会前から準備に余念がなかった。
会場風景 内容は5本の講演で構成されるすっきりとしたもの。最後は参加者みんなで“ダムLOVE”の輪ッ!。さながら北海道から嵐が襲来したようだった。
【プログラム】
開会挨拶 ダム工学会会長 魚本 健人 夜噺1 「ダムの効用−素人ダムファンの視点より−」 東京大学教授 桑野 玲子 夜噺2 「大蔵(おおぞう)ダムを忘れないで」 ダムマイスター 安部 塁 夜噺3 「水力発電で傍楽(はたらく)ダム」 電源開発(株) 河田 暢亮 夜噺4 「オカンが語る "親子でダム巡り" の魅力」 ダムマイスター NOW2000 夜噺5 「北海道のダム、あんなこと、こんなこと」 〜北の大地より広げる“ダムLOVE”の輪ッ!〜 (株)ドーコン 尾山 玲
夜噺1は、「ダムの効用−素人ダムファンの視点より−」。東京大学の桑野先生は地盤工学の先生だそうで、「素人の立場で」といことだったが、意外にも、ダムとの接点があった。お父様がダムのエンジニアで、高山ダムや真名川ダムの建設に携わっておられた。その関係で、先生は小さい頃真名川ダムの地元に住んでいた。その後福井を離れたが、2013年に40年ぶりに家族で真名川ダムを訪問。
もう一つの接点は、登山者としてのもの。先生は、登山を趣味にしておられる。登山口近くにダムがあることがよくある。登山には沢登りというジャンルがあるが、ダムに至ることも。自らの経験を元に話された。黒部ダム、高瀬ダム、有峰ダム、明石ダム、奥只見ダムなど。
これはどこのダム? 最後に、 すっかりダムファンになりました。 気づいていませんでしたが、ずっと前からそうだったかもしれません。 と。 どちらにしてもダムファンであることは間違いない。心強い限りだ。
夜噺2は、安部塁さんの「大蔵(おおぞう)ダムを忘れないで」。大蔵ダムは、福島県にある堤高16.6mの農業用アースダム。福島第一原子力発電所にいちばん近いダムで、1.5kmほど。このため、東日本大震災の時の原発の事故で、使われなくなった。帰還困難区域内にあり、一般人は立ち入れない。
政府の計画によれば、大蔵ダムも含めその周辺は除染のために発生した土の中間貯蔵施設になる。中間貯蔵施設に30年間汚染土を貯蔵することになる。その間、大蔵ダムも休養。30年が過ぎて、中間貯蔵施設が解体されて、大蔵ダムは再び機能を取り戻す。周囲の田んぼに水を供給し、稲が実るだろう。しっかり傍楽(はたらく)ダムになる。それまで、大蔵ダムを忘れないで!
夜噺3はJパワーの河田さん。「水力発電で傍楽(はたらく)ダム」と題して、水力発電に関する知識を幅広く解説。すごい情報量で、これをしっかり理解したら、とりあえずは水力発電の基礎はマスターできそう。
内容は、発電構成の移り変わり、水力発電の特徴、発電別CO2排出量、水力発電の分類(ダム式、水路式、ダム水路式)(貯水池式、調整池式、流込式)、J-POWERの水力発電所(佐久間、秋葉第三、水窪、奥清津など)。
Jパワーは11電力会社の中で6番目に大きな設備を保有。水力発電設備に限れば、電力会社の中でも1、2を争う。だから、ダムの世界ではJパワーが大きく見えるんだと納得。これからも水力をがんばってほしいと思うのだが。
夜噺4はNOW2000さんの「オカンが語る "親子でダム巡り" の魅力」。斬新な切り口と、女性らしい柔らかなプレゼンテーション画面。息子さんが2004生まれ、娘さんが2010年生まれ、2児のお母さん。一緒にダム巡り。
推しどころ(ダム巡りをオススメする際に推してる話)。それは何と言っても「安い、美味い、早い」。テーマパークは入るだけでも高い。ダムなら無料。おまけにダムカードまでくれる。ダム周辺には道の駅があって、新鮮な野菜が安い。温泉も近くにある。イベントでもなければさほど混雑せず、行こうと思えばすぐ出発できる。
だがしかし、返される話もある。山道走るんでしょ、怖い。熊が出るって言うし。駐車場あるの?こどもが使えるトイレあるの? などなど。最近の子供は和式のトイレが使えないらしいと言うことを初めて知った。だから、子供にとっては洋式トイレが必要と。
どのダムが良かったか。お子さんに尋ねてみたそうです。宮ヶ瀬ダム(観光放流!、中も探検、近くに牧場、有名なパン屋さんも近くに)、矢作ダム(キャットウォークから間近で見る放流、全身ずぶ濡れ)など。子供の意見も何となく説得力がある。
最後の夜噺5は、北海道から来た尾山さん。尾山さんは今回が5回目となる東京のwDNのチラシを最初から作ってきた方。いつもチラシを見て、まるでプロに作ってもらったような雰囲気のチラシで、作者は誰なんだろうと思っていた。
「北海道のダム、あんなこと、こんなこと 〜北の大地より広げる“ダムLOVE”の輪ッ!〜」と言う演題で、これが今回の最後を締めくくるにふさわしい、最後は大騒ぎでした。聞くところによると、昨年のwDN北海道で、似たようなことをしたらしい。その嵐を、東京に持ってきた。おまけに札幌のテレビ局を引き連れて。
wDN北海道の模様は、関東でも放映されているようだ 北海道のテレビで、ダムを回ってダムカードをもらうというシリーズ番組があるようで、その番組で「ダムLOVE」が生まれた。ダムLOVEのかけ声とともに、指でハート型を作る。毎回、ダムの人にやってもらう。それでどんどん人気が出たらしい。言葉で書いても何も面白くないが、番組のビデオが放映されて、納得。
最後に、会場の皆さんも立ち上がって、ダムLOVEのパフォーマンス。尾山さんが音頭をとって、みんなでハートを作り、それをテレビカメラが写す。あれは、北海道で放送されるんだろうか。尾山さん、全国興業をお願いします。テレビカメラを伴って。
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