10月31日に開催された「with Dam☆Night 2011」の2番目の講師はダム技術センターの吉田等さん。演題は「ダムをリメイクする」。全体としては、ダムの再開発の話だったが、その最後の部分が、ダムへの熱い夢を語りかけて、印象的だった。この混迷深い時代に、夢を語るとは。
最近、治水専用の普段は水を貯めない流水型ダムが造られているが、下流の副ダムが水の流れを遮断してしまっている。水面がダム上流から下流へと連続して、魚も行き来できるような「川が流れるダム」ができないものだろうか。
2007年にアメリカのダムを調査した。そのとき、Taylorsville Dam に行った。1921年完成の堤高20mほどのアースダム。DRY DAM と呼ばれる。ダムの上下流に渡って川が流れ、水面が連続して見える。上流の貯水池に当たる部分には木が茂っていて、緑豊かなダムだ。
行ったとき、堤体下流の減勢池に釣り人がいて、釣った魚を見せてくれた。「この魚は、この川の最上流の湖まで回遊している」と。まさにダムの上流から下流へ、川が流れるダムだ。
減勢工は、掘込み式になっており、副ダムが常時水面下にあるため、水が常時流れる。魚も行き来できる。平常時は、減勢池に砂が堆積するが、それは洪水時にフラッシュされて下流に流される。
アメリカにはこんなダムがあったんだ。ダムのすぐそばで魚が釣れ、貯水池は緑がいっぱい、そして砂が堆積しない。これを教訓にして、日本版 DRY DAM ができないだろうか。
1963年8月、ワシントンのリンカーン記念公園で行われた「ワシントン大行進」で、キング牧師は歴史的な演説をした。「私には夢がある・・・」I Have a Dream ・・・ と。それをまねて言えば、「私には夢がある。川が流れるダムが実現し、ダムのそばで魚が釣れる日が来ることを」。
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