寛文10(1633)年に竣工した尾張・入鹿池(総貯水容量1,518万m3)は、讃岐・満濃池と一、二を争う規模である。灌漑用溜池であるが、現在は防災ダムの機能の役割も持っている。
愛知県犬山市字池野の明治村の近くに位置し、型式はアースダム、堤防の長さ724.1m、高さ25.7m、犬山市、小牧市、大口町、扶桑町地区の灌漑面積620haを潤す。入鹿土地改良区事務所では、ため池では珍しく入鹿池カードを配布していた。そのカードには次のように記載されていた。
ランダム情報
『入鹿池は、尾張藩が新田開発の水源として尾張北東部丘陵地に築造した人工の農業用水です。規模は全国最大級であり、春には桜やツツジが咲き、冬はワカサギ釣りで賑わう観光名所でもあります。非かんがい期は池の水は愛知用水に送る高度利用を行っています。「ため池百選」(2010.3選定)「世界かんがい施設遺産」(2015.10登録)
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こだわり技術 「棚築工法」・・・(堤防づくりの名人甚九郎が用いた工法) 『堰き止める場所の両側に土を盛り、松木で仮橋を渡し、松葉や枯れ枝を敷いて油を注ぐ。その上にできる限り土を盛り上げた後、橋に点火。橋が燃え落ちると同時に大量の土が落下して急流を堰き止める築堤工法」
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入鹿池と取水塔 |
入鹿池の歴史をみると、明治元年5月集中豪雨のために入鹿池の河内堤が決壊し、死者941人等の大被害が生じた。その後、先人たちは苦労を重ね、入鹿池の改築が進んだ。現在では農業用水の機能に加え、防災ダムの目的も備わった。また、愛知用水と密接に繋がっている。
それは、愛知用水下流域で水不足冬期畑地かんがい用水を入鹿池から愛知用水幹線水路に導水する入鹿池連絡水路の配水管理が行なわれているからである。
一方、平成22年入鹿池は「ため池百選」に選ばれ、平成27年には「世界かんがい施設遺産」登録されている。日本でも、海外でも重要なため池と評価されている。