《このごろ》
ダムをうたう(31) -渡る老鶯-

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  老鶯や大牧小牧ダム渡る  越田のぶ英

 この句は、角川文化振興財団編『北陸・京滋ふるさと大歳時記』(角川書店・平成6年)に掲載されている。
 鴬(うぐいす)は春を過ぎて、繁殖のために平地から山に入っていく。老鶯(ろうおう)とは、老いた鴬でなく、夏になっても鳴く鴬こと。季語は夏である。小牧ダムの上流に大牧温泉があるが、そこは小牧ダムのダム湖から船で行く事しかできない。このダム湖を老鶯がゆったりと飛びながら山へあがっている様を詠んでいる。

 小牧ダムは、庄川の富山県砺波市庄川町小牧字矢ヶ瀬に位置し、型式重力式コンクリートダム、堤高79.2m、堤頂長300.8m、堤体積28.9万m3、総貯水容量3795.7万m3、有効貯水容量1885.8万m3、水力発電用のダムであり、現在関西電力鰍ェ管理している。施工期間は大正14年〜昭和5年、この間木材会社から、ダム建設が流木流しを阻害されるとして、反対闘争がなされた。いわゆる庄川流木事件である。
 当時東洋一のダムを誇っていた。平成14年国の登録文化財に指定、平成19年経済産業省の近代化産業遺産に登録されている。重厚かつ優美なダムである。


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(2013.1.30、古賀邦雄)
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 (古賀 邦雄)
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