《このごろ》
ダムをうたう(6) -東京沙漠-

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  水涸れせる小河内のダム水底にひとむら挙げて沈みしものを
                                昭和天皇

小林重一著「東京サバクに雨が降る」(自費出版・昭和52年)に所収。
昭和36年10月25日、昭和天皇、皇后両陛下は、渇水で貯水量が減少した小河内ダムをご視察された。そのときのご感想を宮内庁を通じて寄せられている。
  
「東京都民の日常生活に極めて大切な施設を見ることができて、大変に参考になった。現在満水時の三分の一の貯水量の状態を見て、節水の大切なことがよくわかった。将来のため、水問題はさらに研究を重ねてもらいたい。」
 
昭和37年正月御製が発表された。それがこの掲歌である。小林重一氏は、御製について、小河内ダムのご視察で、移転民のその後の安否を気遣われ、また貯水池回復の大御心がうかがわれる、と記している。

小河内ダムは日本の代表的な大規模ダムの一つ。小河内ダムの構想が始まったのは大正15年に遡ると言われ、その後幾多の変遷を経て、昭和13年に着工、途中戦争による工事中断もあったが、関係者の懸命の努力によりついに竣工、竣工式は昭和32年11月26日に行われた。建設によって多くの住民の移転を伴うなど社会的影響も大きく、石川達三の小説『日蔭の村』も生まれた。

竣工時には記念切手が発行されていることでもわかるとおり、当時、大きな期待を持って迎えられ、その後、期待に違わず東京の水不足に果たした役割は絶大だった。
昨年、大規模ダム竣工50周年記念事業があって、式典や見学会などが実施されたが、その中心は小河内ダムと佐久間ダムだった。

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(2008.4.1、古賀邦雄)
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 (古賀 邦雄)
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