荒川上流・奥秩父の地には、先に二瀬ダム(国土交通省)、その後に合角ダム(埼玉県)、浦山ダム(水資源機構)が建設された。そして、平成23年3月滝沢ダムが、水資源機構によって、40有余年の長い歳月を経て、荒川水系中津川の埼玉県秩父市大滝字廿六木(とどろき)地先に、多目的ダムとして竣工した。
一般補償として土地取得面積約274ha、移転戸数112戸に及んだ。滝沢ダムの右岸側に渡ると、慰霊碑が建立されている。その碑と並んで、水没者の一人山中雄氏と俳優森繁久弥の望郷の碑があった。
水没者の一人山中雄氏と俳優森繁久弥の望郷の碑
森繁久弥氏の「碧の湖」は、ある水没者の関係者が芸能部門の仕事をしていて、たまたま森繁さんに、「私の実家がダムで水没し、移転をするんですよ」と話したら、この歌を詠んでくれたので、ダムサイトにその碑が建立されたという。 滝沢ダムの諸元は、型式・重力式コンクリートダム、堤高132m、堤頂長424m、総貯水容量6300万m3、高圧ラジアルゲート×2門、ラジアルゲート×3門、ジェットフローゲート×2門を備えている。多目的ダムで、洪水調節、流水の正常な機能の維持、埼玉県と東京都に水道用水を供給、発電の役割を持っている。 ダム直下流には2つの橋で構成されるループ橋が架かり、ダムと一体となっており、ダム景観を引き立たせている。
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