《このごろ》
ダムをうたう(2) -雪に眠る-

→ 「このごろ」一覧   → 「このごろ」目次
 
   奥利根湖生きて韻きて雪に眠る
                        金子兜太

 「韻きて」は「ひびきて」と読む。「利根川322キロの旅」(上毛新聞社・平成9年)所収。作者は日本を代表する俳人、現代俳句協会会長。奥利根湖は矢木沢ダムのこと。水資源開発公団(現水資源機構)によって完成。

 上越新幹線上毛高原駅から北へ遡ると、約37キロで利根川最上流の矢木沢ダム(群馬県利根郡水上町)に着く。堤高131メートル、堤頂長352メートル、総貯水容量2億430万トンのアーチダムである。そのダム湖は、昭和42年に奥利根湖と命名された。この地域が奥利根と呼ばれていること、利根川本川の最上流部に位置することなどによるという。

 ダムの壮大なアーチとともに、奥利根湖の湖面には背後の関越国境の山々が映り、一大パノラマを形成する。ダム湖の周囲に道路が少なく、周りの山々の景観を壊すことがないのもダム湖を美しく見せている。夏は緑に、冬は雪山に囲まれて、奥利根湖は四季折々に表情を変える。

 作者は「奥利根湖は上越の雪嶺を背に静まりかえっていた。利根川の源流のすべてをここに集めてどこかに微笑みを含んで」と表現する。ここ矢木沢ダムでは雪にも強い、スウェーデン製陸水併用車「しろがね号」が活躍する。

[関連ダム] 矢木沢ダム
(2007.10.19、古賀邦雄)
【 関連する 「このごろ」「テーマページ」】

 (ダムをうたう)
  [こ] ダムをうたう(1) -ダムの底-
  [こ] ダムをうたう(3) -ダム湖に浮かぶ湖上駅-
  [こ] ダムをうたう(4) -湖底の村-
  [こ] ダムをうたう(5) -慰霊碑-
  [こ] ダムをうたう(6) -東京沙漠-
  [こ] ダムをうたう(7) -感謝をこめて-
  [こ] ダムをうたう(8) -水源祭-
  [こ] ダムをうたう(9) -静寂な湖面-
  [こ] ダムをうたう(10) -戻れない故郷-
  [こ] ダムをうたう(11) -補償交渉の精神-
  [こ] ダムをうたう(12) -小春かな-
  [こ] ダムをうたう(13) -春の光をあびて-
  [こ] ダムをうたう(14) -未来を信じて-
  [こ] ダムをうたう(15) -ああ黒部川 第四発電所-
  [こ] ダムをうたう(16) -感謝の水・愛知用水-
  [こ] ダムをうたう(17) -故郷への回帰-
  [こ] ダムをうたう(18) -ダム竣工を祝う-
  [こ] ダムをうたう(19) -渡鳥さえ巣は恋し-
  [こ] ダムをうたう(20) -県を分かつ-
  [こ] ダムをうたう(21) -補償妥結の寂しさ-
  [こ] ダムをうたう(22) -大井川上流へ-
  [こ] ダムをうたう(23) -鳥たちの安らぎ-
  [こ] ダムをうたう(24) -風薫るダム-
  [こ] ダムをうたう(25) -大斜面を仰ぐ-
  [こ] ダムをうたう(26) -ふるさとが映る-
  [こ] ダムをうたう(27) -こころ休まらず-
  [こ] ダムをうたう(28) -さくら吹雪-
  [こ] ダムをうたう(29) -大鶴湖と鳴く蝉-
  [こ] ダムをうたう(30) -水を巧みに捌く-
  [こ] ダムをうたう(31) -渡る老鶯-
  [こ] ダムをうたう(32) -オスプレイ-
  [こ] ダムをうたう(33) -下久保ダム-
  [こ] ダムをうたう(34) -耕す-
  [こ] ダムをうたう(35) -奈良俣ダム-
  [こ] ダムをうたう(36) -ダム灼くる-
  [こ] ダムをうたう(37) -四季の風光-
  [こ] ダムをうたう(38) -鏡ダム-
  [こ] ダムをうたう(39) -新区画ダム-
  [こ] ダムをうたう(40) -滝沢ダム-
  [こ] ダムをうたう(41) -奥利根水源憲章の歌-
  [こ] ダムをうたう(42) -下筌ダム-
【 関連する ダムマイスター の情報】

 (古賀 邦雄)
 「このごろ」の関連記事(55 件)
 「テーマページ」の関連記事(159 件)
ご意見、ご感想などがございましたら、 までお願いします。