奥利根湖生きて韻きて雪に眠る 金子兜太
「韻きて」は「ひびきて」と読む。「利根川322キロの旅」(上毛新聞社・平成9年)所収。作者は日本を代表する俳人、現代俳句協会会長。奥利根湖は矢木沢ダムのこと。水資源開発公団(現水資源機構)によって完成。
上越新幹線上毛高原駅から北へ遡ると、約37キロで利根川最上流の矢木沢ダム(群馬県利根郡水上町)に着く。堤高131メートル、堤頂長352メートル、総貯水容量2億430万トンのアーチダムである。そのダム湖は、昭和42年に奥利根湖と命名された。この地域が奥利根と呼ばれていること、利根川本川の最上流部に位置することなどによるという。
ダムの壮大なアーチとともに、奥利根湖の湖面には背後の関越国境の山々が映り、一大パノラマを形成する。ダム湖の周囲に道路が少なく、周りの山々の景観を壊すことがないのもダム湖を美しく見せている。夏は緑に、冬は雪山に囲まれて、奥利根湖は四季折々に表情を変える。
作者は「奥利根湖は上越の雪嶺を背に静まりかえっていた。利根川の源流のすべてをここに集めてどこかに微笑みを含んで」と表現する。ここ矢木沢ダムでは雪にも強い、スウェーデン製陸水併用車「しろがね号」が活躍する。
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