《このごろ》
ダムをうたう(34) -耕す-

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  ダム出来て新しき町耕せる   稲畑汀子

 この句は、稲畑汀子著『稲畑汀子 花神コレクション俳句』(花神社・平成7年)に掲載されている。ダムで水没した農家の人が、新天地にうつり、その地で春耕する姿をさわやかに詠んでいる。生活再建の移転地が安住の地であろう。

 季語は春である。耕の語源は田返しで、春に田植えや種まきの前に、田畑の土を耕すことをいう。田打ち、春田打ち、田鋤くなどは、耕すと同じ意味を持っている。

 汀子は、現在俳人の第一人者である。子供頃から祖父高浜虚子、父年尾に身近に接しながら、自然に俳句への道を歩んだ。この句は、昭和36年の作品である。

(2013.10.16、古賀邦雄)
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 (古賀 邦雄)
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