《このごろ》
ダムをうたう(18) -ダム竣工を祝う-

→ 「このごろ」一覧   → 「このごろ」目次
 
  名にしおう木曾の春水堰とめて (高浜虚子)
  ダムを見てここに蛍の蘇水郷 (高浜虚子)

 大沢伸生 伊東孝著『ダムをつくる』(日本経済評論社・平成3年)所収。作者は俳人の第一人者、「ホトトギス」を主宰。

 ダムとは、丸山ダムのことである。丸山ダムは、木曽川水系木曽川の河口より約90km地点の岐阜県御嵩町、同八百津町に建設された。企業者は関西電力(株)、施工者は間組で、そのダムの諸元は、堤高98.2m、堤頂長260m、堤体積49.7万m3、総貯水容量7952万m3、有効貯水容量3839万m3、型式は重力式コンクリートダムである。

 この書に、「丸山ダムは、わが国初の重機械化工法施工で施工されていることがあって、工事期間中各方面からの視察が跡を絶たなかった。その数は2年7ヵ月の工事期間中で、数万名に達したという。それだけ注目を集めた工事だったが、視察者は日本国内だけでなく、アメリカ、フィリッピン、インドネシア、メキシコ、ビルマ、タイ、インド、中国など諸外国に及んでいる。そうした中で異色の視察者は竣工直後の昭和29年6月に訪れた俳人高浜虚子と家族の一行。」と、ある。

 そのときに、この2句がうまれたという。間組社長神部満之助は、虚子と親交があり、黄子の俳号をもつほど、俳句に造詣が深かった。さらに、虚子は、〔花植ゑよ而して花のダムとよべ〕と詠み、丸山ダムの竣工を心から祝福している。

[関連ダム] 丸山ダム(元)
(2009.12.25、古賀邦雄)
【 関連する 「このごろ」「テーマページ」】

 (ダムをうたう)
  [こ] ダムをうたう(1) -ダムの底-
  [こ] ダムをうたう(2) -雪に眠る-
  [こ] ダムをうたう(3) -ダム湖に浮かぶ湖上駅-
  [こ] ダムをうたう(4) -湖底の村-
  [こ] ダムをうたう(5) -慰霊碑-
  [こ] ダムをうたう(6) -東京沙漠-
  [こ] ダムをうたう(7) -感謝をこめて-
  [こ] ダムをうたう(8) -水源祭-
  [こ] ダムをうたう(9) -静寂な湖面-
  [こ] ダムをうたう(10) -戻れない故郷-
  [こ] ダムをうたう(11) -補償交渉の精神-
  [こ] ダムをうたう(12) -小春かな-
  [こ] ダムをうたう(13) -春の光をあびて-
  [こ] ダムをうたう(14) -未来を信じて-
  [こ] ダムをうたう(15) -ああ黒部川 第四発電所-
  [こ] ダムをうたう(16) -感謝の水・愛知用水-
  [こ] ダムをうたう(17) -故郷への回帰-
  [こ] ダムをうたう(19) -渡鳥さえ巣は恋し-
  [こ] ダムをうたう(20) -県を分かつ-
  [こ] ダムをうたう(21) -補償妥結の寂しさ-
  [こ] ダムをうたう(22) -大井川上流へ-
  [こ] ダムをうたう(23) -鳥たちの安らぎ-
  [こ] ダムをうたう(24) -風薫るダム-
  [こ] ダムをうたう(25) -大斜面を仰ぐ-
  [こ] ダムをうたう(26) -ふるさとが映る-
  [こ] ダムをうたう(27) -こころ休まらず-
  [こ] ダムをうたう(28) -さくら吹雪-
  [こ] ダムをうたう(29) -大鶴湖と鳴く蝉-
  [こ] ダムをうたう(30) -水を巧みに捌く-
  [こ] ダムをうたう(31) -渡る老鶯-
  [こ] ダムをうたう(32) -オスプレイ-
  [こ] ダムをうたう(33) -下久保ダム-
  [こ] ダムをうたう(34) -耕す-
  [こ] ダムをうたう(35) -奈良俣ダム-
  [こ] ダムをうたう(36) -ダム灼くる-
  [こ] ダムをうたう(37) -四季の風光-
  [こ] ダムをうたう(38) -鏡ダム-
  [こ] ダムをうたう(39) -新区画ダム-
  [こ] ダムをうたう(40) -滝沢ダム-
  [こ] ダムをうたう(41) -奥利根水源憲章の歌-
  [こ] ダムをうたう(42) -下筌ダム-
【 関連する ダムマイスター の情報】

 (古賀 邦雄)
 「このごろ」の関連記事(55 件)
 「テーマページ」の関連記事(159 件)
ご意見、ご感想などがございましたら、 までお願いします。