春風や億首ダムにオスプレイ 古賀邦雄
私は、2013年2月11日から16日まで、沖縄を訪れた。14日に倉敷(くらしき)ダム、漢那(かんな)ダム、山城(やましろ)ダム、億首(おくくび)ダム、羽地(はねじ)ダム、真喜屋(まきや)ダム、そして翌日15日は、大保(たいほ)ダム、福地(ふくじ)ダム、新川(あらかわ)ダム、阿波(あは)ダム、普久川(ふんがわ)ダム、辺野喜(べのき)ダムの12基のダムを北部ダム事務所の方に、案内してもらった。 倉敷ダムと漢那ダムは脇ダムがともに大きく、最初観たときは、こちらがダムサイトかと、見間違えてしまった。それにダムは、琉球石灰岩のロックフィルダムで、秀麗である。心を和ませてくれる。羽地ダムも真喜屋ダムも福地ダムも同様にロックフィルダムで、美しい。ずっとダムサイトに立ち続けたいと思った。漢那ダムは重力式コンクリートダムであるが、沖縄の城(グスク)をイメージした石積み模様を施し、直下流のバルブ室にはシーサーを設置してある。これらのダムは全てゲートレス自然越流方式であった。
沖縄のほとんどの河川は延長が10kmほどであり、これらの河川にダムを造り、貯水し、トンネルと導水管によって、北部から南部の那覇市などの都会へ送水している。小河川からのぎりぎりの「限界水開発」だとの説明を受けた。ここに沖縄のダム施工の困難性が潜んでいるようだ。ダムの完成によって、平成6年以降、沖縄本島では断水が起こっていない、という。沖縄の屋上には水タンクがあっちこっちに設置されているが、このような光景は沖縄しか見られない。
14日の朝、建設中の億首ダムをダム所長から、説明を受けていたとき、所長が「あぁ、オスプレイだ」との声に、見上げると、濃い灰色の機体が、飛来している。「どっどど」と、鈍い重たい音を出しながら通り過ぎて行った。
米軍基地と接している億首ダムは、沖縄東部河川総合開発事業の一環として、金武(きん)町にある水道用水専用のダム(県企業局管理)を再開発し、洪水調節・既得水利や河川維持用水の安定化、水道用水及び灌漑用水の供給を目的として、建設中である。 ダムができる億首川は恩納(おんな)村喜瀬武原(きせんばる)北方の標高150mの山地を源とする延長約8kmの河川である。億首ダム下流から河口までの1.5km間は感潮区間となっており、河口はマングローブの森に覆われ、蟹やエビや貝の棲みかに、エサをもとめて、野鳥が集まるため、自然環境保全への取り組みがなされている。
億首ダムは、世界初の台形CSG台形ダムで施工されている。その諸元は、堤高39.0m、堤頂長461.5m、堤体積33.9万m3、総貯水容量856万m3、型式は台形CSGダムである。
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