【個人補償の袋をもらっても中身をみずに仏壇に供えて泣いた。「本当に申し訳ありません。ご先祖様、イラ(私)にはどうすることもできなんで」と涙が流れて止まらなかった。】
【村長の齋藤一松さんが「大昔からつづいた故郷がお国のためとはいえ消えてしまうことはご先祖様に申し訳ない」と挨拶した。誰も大事な大事な故郷がなくなることを喜ぶ者はいない】
【水色はな、「孤独に打ち勝つ色だ」って聞いたでな。自分のことは自分で管理しないと思っているから。イラ(私)にはぴったりの色だな、と思ったで。もともとイラは青い色が好きなんだな。青い色は空の色でもあるし、水の色である。またきれいな心みたいに澄んで美しいだろ。暑いときも首に巻いてほどかない。汗をふき、悲しいときは涙をふくな。便利だよ。そんでまたしばるのでな、がんばろうと思うんだよな。】