【 津軽言葉である「けやぐ」とは、並みの友人から一歩も二歩も進んだ「腹蔵なく話し合え、信頼し合う心からの友人であり、何のためらいもなく相手の膝を枕に寝れる」真の友人、刎頸(ふんけい)の友を云うそうである。 赴任間もなくあった津軽平川土地改良区役員との初顔合わせの際、白取理事長、田中弘理事長から、「けやぐにならねば、津軽では仕事が出来ね」と云われ、その言葉の裏にある「まずはお手並み拝見」はまだ良いとして「事業所と改良区が眞のけやぐになって、共に事にあたることの大切さ」の意味の深さに、平川事業の難しさと、信頼出来る環境作りの大切さを、しみじみと感じたことであった。 着任早々の難問は、早瀬野ダム工事の再開にかけての環境問題の解決と原石の確保であった。阿闍羅山の原石使用についての地元や関係者調整では、白取理事長、山口大鰐町長に御骨折を願った。解決までの過程で御両氏から度々御叱責や御教示を頂いたが、虚心坦懐に事情を説明しご相談申し上げた事で最良の道を拓くことが出来、秋の終りには念願の100万m3盛立を達成し、改めて誠心誠意で事にあたることの大切さを教えられた。】
【 設計や工事実施に際して、地権者や施設の直接・間接受益者と対立する事が多々発生するが、胸襟を開いて論議し、かつ常に相手の身になって考えて見ることなど、話が終ったあと相手から「けやぐ」として受けいれてもらえる努力の大切さを、五所川原幹線用水路工事は如実に教えてくれたし、それが中・下流部の路線決定、五所川原頭首工等の河川協議、全ての国営事業の推進に役立ったと思っている。】