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ダムインタビュー(68)
星野夕陽さんに聞く
「正しい情報を流すと、反応してくれる人がいっぱいいる」

 星野夕陽さんは、萩原さんや宮島さんが2000年頃から活躍し始めたダム愛好家さんの第一世代とすると、およそ10年後に自身のホームページを立ち上げて活動し始めたその後に続く新しい世代のダム愛好家さんです。TVや新聞に登場する機会も多く、また国交省に呼ばれる等、ダムのPR面で活躍されておられます。もちろん当協会認定のダムマイスターでもあります。星野さんの活動の特長としては、ダムのある地域にたくさん雨が降った時に、Twitter 等のSNSを活用して、刻々と変化するダムの水位を参照しながら、今ダムで何が起こっているかを詳しく解説するというリアルな情報発信であり、これが人気を博しています。

 今回は、星野さんがどういったきっかけでダムの魅力に惹かれて行ったのか、ここ数年でメディアにダムが登場する機会が増えたことについてなど、様々なお話を伺って参ります。



ダムマイスターとの出会い

中野: ダムを見に行かれたきっかけはどのようなことでしたか。

星野: 大人になってから初めてダムに行ったのは、確か2010年に宮ヶ瀬ダムで開催された「森と湖に親しむ旬間の見学会」です。もともと橋とか巨大構造物が好きだったので、仲間うちでこういうイベントがあると教えてもらって連れて行ってもらいました。

中野: それから、自分でどんどん行くようになられたのですか。

星野: いや、そうはなりませんでした。宮ヶ瀬ダムに行った後、高架橋脚ファンクラブが企画した見学会に参加しました。当時、建設中でまだ橋桁が乗っていない状態の圏央道の海老名ジャンクションの見学に行きましたが、ドボク好きが大勢参加していました。そこにだしぇろさんが来ていたのです。ダムマイスターでダム写真を撮っていると聞きました。彼女は昔からダムが好きで、ほぼ20年選手ですから大ベテランでした。

秋葉ダムの写真を応募したら入選

中野: それで気が合って一緒にダムを見に行こうことになったのですか。

星野: そうですね。夜景が撮れる天竜川の秋葉ダムを紹介してもらい撮りに行きました。秋葉ダムに行ったのが2011年の1月、ダム協会のフォトコンテストの締切りが1月末で、1月半ばぐらいに夜景を撮りに行ってフォトコンテストに応募していきなり入選してしまいました。入賞したことで、モチベーションが上がりました。自分で撮った写真が評価されるのはやはり気分が良かったです。

中野: そうですか。ダム協会のホームページはご存じだったのですか。 

星野: いえ、全然知りませんでした。

中野: ダムに行くきっかけはフォトコンテストだったのですね。


2010年フォトコンテスト入選作品
星野夕陽「シンメトリー」 秋葉ダム(静岡県)
星野: そうですね。ダムは基本的に同じものは一つもない、全部特注品だから姿形は全部違うという話を聞いて、他のダムはどうなっているのだろうと、興味を持ちあちこち見に行き始めたのです。

中野: それからご自身のWebサイトも立ち上げられたということですか?

星野: まず写真から入り、ダムに行くようになってからSNSを通じて、ダム愛好家の人たちがたくさんいるのを知ったのです。それまで萩原さんや宮島さんも全く知りませんでした。

ダムカードに採用された高遠ダム

中野: 撮影された写真がダムカードに採用されたとか。それはどういう経緯でしたか?


高遠ダム:ダムカードの写真

星野: ダムカードに採用されたのは、秋葉ダムと同時期に行った高遠ダムです。自分のホームページにダム訪問の記録として朝焼けの高遠ダムの写真を掲載していたら高遠ダムの職員の方から直接メールが来まして、これからダムカードを作ろうと検討しているので、可能なら撮影した写真を使わせて貰いたいということで、ダムカードの写真に採用されました。ダムカードの裏面に「フォト 星野夕陽」と記載して頂きました。

中野: ダム愛好家さんには、いくつかのタイプがあると思いますが、自分ではどういうタイプになると思いますか。例えば、とにかくダムを見て歩くとか、分類して楽しむとか。
星野: 余り意識していませんが、ダムを見に行くのも、自分がまず見たいと思ったものから行って見ることです。ダムについては好き嫌いがそんなにないです。それから、ダムカードがある所じゃないとだめとか、そういうことも一切ないです。そんなにこだわりはなくて、見た目が好きかどうかところです。

中野: 何基ぐらいダムに行っておられるのですか?

星野: 大体の数で、500〜600基くらいです。

中野: ダムに行き始めてからあまり時間が経っていないのに、たくさんのダムを見ておられるのですね。行きたいと思ったらすぐ見に行く感じですか。

星野: そうですね。最初の頃と今では、好きなタイプのダムがだんだん変わってきていると思います。最初は、電力系の発電ダムが好きでした。今は、洪水調節をする坊主ダムが良いと思っています。例えば富山県にある境川ダム、栃木県の湯西川ダムとかが、今はいいなと思っています。ダム愛好家の中では余り好かれないタイプのダムだとは思いますが、僕は逆にそれがいいなと思うので、よく見に行っていますね。

洪水調節に興味を持ったのは

中野: さきほど、他のダム愛好家さんとの交流はまだ浅いとのことですが、交流があるのはどなたになりますか?

星野: 今一番お付合いがあるとしたら、夜雀さんだと思います。僕のダムの師匠です。夜雀さんと水資源機構が行った「ダム友と語る会」で、2010年台風18号における名張川上流3ダムの総合操作による洪水調節が市街地の浸水被害を軽減したことに強く興味を持ちました。これは最新の降雨予測技術と流出解析モデルを活用し、予測の幅を認識しながら運用することで3ダムの洪水調節能力を最大限に活用したダムの洪水調節で、その年に土木学会の技術賞を受賞しました。それから川の防災情報や各都道府県の防災情報を参考に、SNSで洪水調節の実況を行うようになりました。

中野: なるほど、夜雀さんは、ハイドログラフの解説がプロ顔負けで、解りやすいということですが、夕陽さんには新しい感覚で情報発信をして欲しいと期待されていますね。

星野: 師匠である夜雀さんに洪水調節の事を教えて頂いたのと、水資源機構関西支社と名古屋支社の方々に教わったことが、僕の知識の基になっています。当時の木津川ダム総合管理所の方々には、殆どマンツーマンで非常に詳しく教えて頂くことが出来ました。その他、あちこちのプレスリリースの資料をみて勉強しました。とくに教科書がないので、自分でコツコツ調べて覚えた感じです。気になる事があれば、それについて詳しい人のところに行ってまず教えてくださいとお願いする。そこからまた分からないことが出てくるので、次々に聞いていくのです。最初はダムの情報を見て自分がいつ出水に気づいたかを記録するつもりだったのです。それを単にSNSに流していました。みんなに知ってもらおうという考えではやっていなかったのです。


中野: 情報を発信している感覚はあまりなかったということですか。

星野: 積極的に発信しようと思ったきっかけは、2013年の台風18号の大雨で洪水の危険が、日吉ダムに迫っていた時、淀川水系の7つのダムが連携してダム操作を行い、洪水を未然に防ぐことが出来たということでさらに思いが強くなりました。その年もダム群は土木学会技術賞を受賞しました。あの時、刻々と変化する水量を見ていた僕のツイートがものすごいビューになっていました。それでこういう情報にも需要があると初めて気づきました。それからは、人に見て貰うことを意識して情報発信するようになっていきました。

中野: 最近はダムからの情報発信があるので、見ようと思えばリアルタイムで流入量とか放流量が解りますね。

星野: そうですね。それで、僕は自宅の部屋にパソコンのモニターをいっぱい並べて、台風が来たりして出水がありそうな時は必ずチェックするようにしています。川の防災情報や各都道府県の防災情報を参考に、SNSで洪水調節の実況を行うようになりました。

中野: そういった経緯があって洪水調節の話題になると依頼が来るようになったのですね。


自宅の部屋のモニター
フルHD・43型・フルHD液晶
星野: ダムの洪水調節を説明するのにハイドログラフを使うのですが、大雨の時、ダムが水を溜めながら同時に必要な分を流しているなど、簡単に解説するのが難しく理解して話せる人がなかなかいないのです。そのお陰なのか、様々なイベントで洪水調節の話をする機会がたくさん出てきて、日本ダムアワードでは3年連続で洪水調節賞を担当する事になったり、国交省のWEBサイト「カワナビ」への掲載や、鬼怒川ダム群のシンポジウムで登壇する事にもなりました。

中野: すごいですね。当然、趣味の範疇だと思いますが、仕事もやりながらこういうことをされているのは、すごくエネルギーがいりますね。会社の方はご存じなのですか?

星野: あくまでプライベートなことなので、ダムに行く時も有給休暇を利用しながら行っています。(笑)

日本ダムアワードについて

中野: ダムアワードについてお聞きします。2013年に萩原さんが立ち上げて、いろんな人に声を掛けて始められたと聞いていますが。

星野: そうですね。ダムアワードはダム愛好家のイベント「ダムナイト」を通称カルカル、お台場の“東京カルチャーカルチャー”でやるようになってから4年目です。ダムは山奥で人知れず働いているのに、どういう働きをしているのか一般の人にはなかなか知られていない。ダム好きから見たら、ダムはこんなに良いことをしているのに、周知されていないという想いがあったので、「一年間のダムの活躍を振り返り、ダム愛好家有志による選考委員が様々な角度から活躍したダムをノミネート。 選考委員と観客の皆さんによる投票で、各部門で今年もっとも印象に残る働きをしたダムを選出し、その功績を讃えよう、というイベント」を始めたのです。(日本ダムアワード公式ホームページより)僕は、2013年、2014年、2015年と続けて、洪水調節賞を担当させて貰っています。

中野: 最近はメジャーになってきて、ダムの管理所の方も表彰されて大変喜ばれているそうですね。選考委員はどのようなことをするのですか。また、どういった選考部門があるのでしょうか。

星野: 選考委員は、ダム事業者、ダム建設業者などに属さない一般のダム愛好家で構成されていて、1年間のダム情報を収集してノミネートダムを選定しています。2015年は22のダムがノミネートされました。選考部門は、放流賞、イベント賞、洪水調節賞、ダム大賞があり、選考委員がノミネートダムのプレゼンをして、ダムアワードの会場で選考委員、観客のみなさんによる投票でその年の各賞が決まります。


日本ダムアワード2015
鬼怒川4ダムが大賞を受賞

中野: 鬼怒川上流4ダムがダム大賞に選ばれた時はどうでしたか。

星野: 賞の発表で、洪水調整で鬼怒川4ダムは最初から注目度が高かったので、先に洪水調節賞を七川ダムがとっていたのでもうだめかと思っていたら、大賞になっていた。それはすごく嬉しかったです。ガッツポーズしてしまいました。(笑)本当に良かった。

中野: プレゼンの内容を教えてください。

星野: 2015年9月に起きた関東・東北豪雨災害の鬼怒川上流4ダムの洪水調節について、説明させて頂きました。台風17号、18号の2つ台風により未曾有の災害が起きたわけですが、この台風は鬼怒川上流部に累計600mmを超える大雨を記録しました。五十里、湯西川、川治、川俣の4ダムの連携により、約1億立方メートルの洪水を貯留しましたが、災害は起きてしまいました。しかし、この4ダムの活躍がなければ常総市域に溢れた水量は2倍、浸水面積は1.3倍の50平方キロメートルになっていたのです。ダムは完全に洪水を防ぐことはできなくても軽減させることがベターであるというダムの役割を話しました。ダムの洪水調節を説明する事は興味をもってやっていることなので、できれば今後もやっていきたいと思っています。
中野: ダム大賞のトロフィーをもって行かれたのですか。

星野: 洪水の後も一通りみせてもらってフォローしていますし、ダムアワード2015授与式ということで、トロフィーを直接ダムへ届けに行きました。持参した当日は、あいにく雨でしたが、テレビの取材もあり、ダム愛好家の参加あって、鬼怒川ダム総合管理所長さんはじめ職員の皆さんにも大変喜んで頂きました。特に所長さんがすごく喜んで下さいまして、何度か誘われて飲みにも行ったりしました。(笑)

中野: ダムアワードも、そういった情報発信ができるようになったと。

星野: そうですね。


トロフィーの授与(川治ダムにて)
写真提供:(鬼怒川ダム統合管理事務所)
ダムのPRは中間層をターゲットに

中野: 当協会のダムマイスターにもなって頂いていますが、実際に任命されて、証明書はどのような時にお使いになっているでしょうか。

星野: 余り使ってはいないのですが、湯西川ダムの試験放流の時は、ダムマイスターの証明書を見せたら一般の人が入れないような場所にも入れて貰えました。試験放流では、一般向けに公開出来ない側面もあり、そういう意味では普段は見られない場所も特別に見せて貰えて、任命して頂いて良かったと思っています。

中野: ダムマイスターとして、ダムをどういうふうにダムをアピールしていったら一般の人にも理解が深まるようになると思いますか。

星野: 一般の人でも全然ダムを知らない人と、僕らみたいにダムが好きな人との間にいる人たち。中間層をターゲットにするといいと思います。ダムについて、いろんな種類があるとか、ただ水を溜めるだけじゃないとか、少しは知っているけど、構造とか機能とかまでしっかり知っているのではなくて、話を聞くと面白そうだと思っている人たちにアピールしていくのが、一番効果があるのかなと思います。

中野: ある程度話を聞いて解る人達とは、ダムアワードとか、ダムのイベントにも来る人たちですか。

星野: いえ、来ない人達です。チケットを購入してまでイベントに来る人はマニアの部類に入ると思います。今言った中間の人は、そういうイベントに、まだまだ来ない程度の人たちで、何かきっかけがあれば、将来は来る側になる感じです。

中野: そういう人達については、Twitterをやっているときに感じることがありますか。興味をもってもらえそうですか。

星野: それはなかなか難しいですね。むしろ、そういう人たちに対してどうアピールすればいいのかまだピンときてないのです。ただ全然興味もない人に、ダムがいいよと打っても一切響かないので、そういう方たちよりは、アンテナに引っ掛かるか中間の人の方は反応がゼロではないのです。

中野: ちょっと問題意識があるみたいな方ですね。

星野: そうです。そういう人たちは、大洪水があって川が氾濫し、こういう報道があったと、例えば、僕らが正しい情報を流すと反応してくれる人がいっぱいいるのです。その人たちは、普段は自分からはダムのことを全然何も言ってないけど、意外と、僕らが発信する情報をみて、理解している感じの反応をしてくれる人ので、そういうところを取り込むのがいいかなと思っています。

SNSから拡がっていくダムの役割

中野: 井上よしひささんと2人で、鬼怒川の水害の時今ダムが頑張っているよとTwitterをやっていて、そこに反応してくる人たちがいたとお聞きしましたが?どんな意見でしたか。

星野: 「ダムが今こんなことをやっているのか、知らなかった」とか、そういうのもあるし、「職員さんが日々頑張ってくれているんだね」とういうようなことを書いている人たちが結構いて、素直で正直な反応だと思いました。僕たちのTwitterがまとめられたサイトがあるんですが、それが20万ビューいってます。今日のラジオでも話してきましたが、埼玉新聞だって5万部ぐらいでしょ、それを考えたらすごい波及効果ですよ。



中野: そのTwitterに気付いた人が実際に見ていることですからね。

星野: 興味がなかったらまずクリックしないですから、そういう潜在的な人達は実は一杯いると感じたのです。ちゃんとした問題意識があって、一方的なダムはムダ的なことを鵜呑みにしていない。

中野: 鬼怒川の水害の時はダムが活躍していることを結構アピール出来たのですね。そこまでダムの洪水調節を見ていると情報発信の仕方が違ってきたところはありますね。

星野: 現実には被害が出てしまったのですが、本当にダムの活躍、ダムの役割や効果がわかってもらえて良かったです。
国交省に話に行く

中野: 国交省にお話に行かれたそうですが。

星野: 国交省の技術畑のトップ、池内技監がダム愛好家に話を聞きたいということで、僕と井上よしひささんと宮島さんとだいさんの4人で伺いました。

中野: 確かダムカード発案者の三橋さんのご紹介とか。

星野: そうです。日吉ダムの大雨の時のダム操作の話で、池内技監は、以前に近畿地方整備局長をされておられ、ダムについても経験がある方だったのでいろいろ詳しくお話出来ました。

中野: そのお話は、何かのメディアに載ったのですか。


星野: 完全にプライベートなので、二、三週間前ぐらいに連絡があり、ご都合が良ければどうですかという感じでした。池内技監がダム愛好家の話を聞きたいとのことだったらしいです。

ラジオ出演では正しいダムの見方を

中野: 先ほど今日のラジオ出演のお話をされましたが、最近はラジオに出られることが多いのですか。

星野: そうですね。4月と6月に出させて頂きました。

中野: そのちょっと前はテレビが多かった?

星野: そうですね。もう3年前くらいになりますね。その頃はテレビ出演の話が続いていました。

中野: テレビで、ダム愛好家や橋マニアを扱ったのは覚えているのですが、ここ最近は余りやらないですよね。

星野: 最初は、ダムを見て回るのが趣味の人がいると物珍しさからオファーがありました。最近、一巡してしまったのかも知れません。それに、僕らだとテレビの絵面的に良くないから。今、テレビでは女性のダム愛好家が人気らしいです。

中野: 確かに今はテレビよりもラジオに話題が行っている感じはありますね。今日、出演された番組では、どんなことをお話されたのですか。

星野: 今日、インタビューを受ける前に、文化放送の「くにまるジャパン」という番組の「おもしろ人間国宝」というコーナーで、「ダムマイスターの正しいダムの見方」試験放流についてお話して来ました。パーソナリティは野村邦丸さんでした。

中野: どこのダムの試験放流を取り上げられたのですか?

星野: 石川県の辰巳ダムです。ダムの試験放流は、ダム建設が完了し試験湛水を始めてようやく放流できる状態になって初めて水を出して安全性を確認する為に行うのですが、ダムによっては50年に一度、100年に一度大雨が降って始めて放流することもあるので、この機会を逃したら、二度と見られないかも知れない。それだけ貴重な機会ということを説明して来ました。

辰巳ダム試験放流

中野: どんな反応でしたか?

星野: 野村さんは興味をもって聞いておられました。リスナーからはどう思われたかは分かりませんが。(笑)言葉でダムの魅力を伝えるのはなかなか難しくて、ダムの構造を知らないと映像がないので聞いている人の頭に浮かばないでしょうから。

中野: そういう難しさはあるかも知れませんね。そもそもパーソナリティの人がダムに興味がないと、質問も出ないわけですから、今日の野村邦丸さんはどうでしたか。
星野: 今日のパーソナリティの人は非常に乗り乗りで面白かったです。邦丸さんご自身もダムが好きなのかなという印象を受けるような感じでした。

中野: それはよかったです。辰巳ダムに行かれた時のことを教えて下さい。

星野: 真冬で猛吹雪でした。あちこちの高速道路が通行止めになってしまい行くのが大変で、ようやくたどり着いて見られた時は感激しました。実は、ラジオでは話してないのですが、途中で追突事故に遭ってしまいました。

中野: 大丈夫だったのですか?

星野: 富山県に入ってダムまであと数キロのところで追突されてしまったのです。怪我もなく車も走れる状態でしたので、大したことはなかったのですが、事故連絡をしてから、パトカーが来て事情聴取です。こちらはもう早く終わって、ダムに行きたいと思いながら、じりじりしていました。そういう意味でも辰巳ダムは特別に印象があるダムになりましたね。

ダムに行く目的のひとつは試験放流

中野: 今度行ってみたいダムはありますか。

星野: 鹿児島県の鶴田ダムです。いろいろ紆余曲折があるダムです。ただし書き操作までやって、川の氾濫もあって、再開発があって。もうすぐ生まれ変わる訳なので、それはぜひ見ておきたいですね。

中野: なるほど。そういう意味では希少さですね。洪水調節をするダムはどうですか。

星野: 湯西川ダムも構造がシンプルできれいなダムで好きですね。

中野: ダムに行く時はどのように計画するのですか?夜中に出られているとか。

星野: 普通は1日だけ会社を休んでいくので、最適のコースを選んで、夜中に出て試験放流に間に合うように道順を考えて行くことにしています。

中野: 休みがとれなくて行けなかった試験放流はありましたか?

星野: 僕の場合は胆沢ダムに行けなかった。最大の原因はこの時の試験放流の予定日が連休明けの仕事始めの日だったのです。そこで休みの申請を出すのはさすがに無理でとうとう行けませんでした。

中野: 試験放流って、そんなに行きたいものですか。

星野: やはり貴重さです。先ほども話しましたが、試験放流は、それを見逃すと自分が生きているうちはもう見られないものですから。

鬼怒川ダム地域創生シンポジウムに出演

中野: 最近、シンポジウムで基調講演をされたということですが。

星野: 今年3月に、栃木県総合文化センターサブホールで、出演される方が知事、大学准教授という「鬼怒川ダム地域創生シンポジウム」で、基調講演とパネルディスカッションをさせて頂きました。本当に僕でいいのかなと思っていました。

中野: それはどのような経緯だったのですか。

星野: ダムアワードでダム大賞になった鬼怒川4ダムの統合管理所の方からご指名して頂きました。何度もイベントに出させて頂いていますが、500人も入るホールに330人も来場されるということで、大きな会場は初めてでしたし、すごく緊張しました。


鬼怒川ダム地域創生シンポジウム
中野: そうですか。基調講演はどうでしたか。
星野: タイトルは「洪水に対するダムの貢献」でした。内容は悩みましたが、ダムアワード2015で話した内容に加筆修正したものをべースに、ダムに対する誤解や、今回の操作に対する意見を拾い上げて紹介しました。当時、僕らのダムを応援するTwitterと、ダムアワードで表彰されたことについても紹介しました。

ダムの人へのメッセージ

中野: ダムの中の人とか、ダムを造る人へのメッセージとかはありますか。どういったことをダムに望むか、例えば、見せて欲しいところとか、こういうふうにしてほしいとか要望はありますか。

星野: 要望としては、とにかく細かいことでも何かしら情報発信をして欲しいということですね。一般の人には難しい内容でも、僕らが解釈して解りやすく配信し直すのは出来ます。そもそも情報がないと何も出来ないので、何でもいいから情報を出してほしいと思います。

中野: なるほどね。これはちょっと一般の人に向けて発信するのは難しいかと思えると自粛してしまうし、解りやすくするには手が掛かるので、ますます情報が出てこなくなりますね。

星野: 最近は、少しずつ情報も増えて来ましたが、ちょっと難しそうな内容になると、完全にプレスリリースだけとか。そういう例が多いです。もうちょっと細かいこととかも知りたいので、それこそ、公式のTwitterのアカウントでつぶやいてもらえる程度でもいいので、僕らがその情報を拾って、これだと普通の人はわからないかな感じのことだったら、僕らが解りやすくして、再発信していくやり方もあります。

中野: そうですね。ここのダムではこんなことをやっていますと紹介して頂けると、ちょっと興味ある人が反応してくれますね。

星野: 僕らが拾う情報がないと何も出来ないので、きっかけというか発信をお願いしたいです。

中野: それはぜひダムの管理所でも事務所でも検討して欲しいですね。何らかの形で発信してくれないと拾えませんから。

ダムを広報していくダムマイスター

中野: ダムを広報していくことって、解りやすくするにはかなり難しいでしょうから、SNSで少しずつでも情報を出して貰って、ダムマイスターさんとコラボして行ければ良いですね。

星野: 僕らも一般人ですが、ダムの職員さんとか、ダム側の人たちの仕事の内容もある程度は、頭に入っているし、普段どういうお仕事をされているかのも知っていて、なかなか表に出てこない事情も少しは知っていたりします。要は、一般の人とダムの職員さんをつなぐ間のところにいるので、そういう意味でも、難しい内容をうまく流せる緩衝材になれるのではと。むしろ、そうなっていきたいと思っています。

中野: 今日はいろいろ楽しいお話をありがとうございました。

(インタビュー写真撮影:日本ダム協会、その他の写真提供:星野夕陽さん)



(参考)星野夕陽さん プロフィール

【講演・トークショー】
2013. 7.14 第2回ダムマニア展トークショー出演
2013.11.30水資源機構総合技術センター施設見学会「土木フアンの集い」で台風18号での「ダムの効果」講演
2013.12.29 「日本ダムアワード2013」で洪水調節賞プレゼンター
2014. 7.13トークショー「ダムナイト6」出演
2014. 7.14 「with DAM☆NIGHT2014」講演
2014.12.27 「日本ダムアワード2014」で放流賞・洪水調節賞プレゼンター
2015. 8. 4 「第3回ダムマニア展」写真出展
2015.12.26 「日本ダムアワード2015」洪水調節賞プレゼンター
2016.3.3 「鬼怒川ダム地域創生シンポジウム」 基調講演・パネルディスカッション

【テレビ・ラジオ出演】
2012.8.6 CBCテレビ「イッポウ」に出演
2013.3.17 テレビ朝日「激論! どっちマニア!!」に出演
2013. 5.25 BS日テレ「中川翔子のマニア☆まにある」に出演
2013. 7.2 テレビ東京 「みつ星の館」に出演
2016. 4 FM OSAKA 松木安太郎の「バーンとやってドーン!」に出演

月刊ダム日本
2012. 6 No.812 「ダムマイスターレポート板室ダム見学会」執筆 
2012.11 No.817 「ダムマニアがゆくFile 043 俯瞰で見るダム」執筆 
2012.11 No.817 「ダムマイスターレポート湯西川ダム完成式」を執筆 
2013. 2 No.820 「ダムマイスターレポート畑川ダム試験放流」執筆
2014. 2 No.832 「ダムマニアがゆくFile 058 俯瞰で見るダム2」執筆 
2014. 7 No.837「ダムマイスターレポート湯田ダム試験放流」執筆
2015.5 No.847 「ダムマニアがゆくFile 073 俯瞰で見るダム3」執筆

【新聞】
2015. 6. 6 北海道新聞「シューパロダムに放流賞」掲載
2015. 7. 4 北海道新聞「豊平峡ダムの観光放流」掲載
2015.11.27 建設通信新聞「ダム工学会25周年特集」 第2集 3面掲載
2016. 3.28 下野新聞 「鬼怒川ダム地域創生シンポジウム」 再録記事
2016.3.28 読売新聞茨城版「鬼怒川ダム地域創生シンポジウム」 再録記事

【写真提供】
2012.3 「見直そう、今までのエネルギー」(文溪堂)
2014.11.1 高遠ダム ダムカード配布開始(長野県プレスリリース)
2013.1.11 「マツコの知らない世界」 放映

【WEBサイト掲載】
2015.2.3 国土交通省WEBサイト カワナビ Vol.6 掲載

【委員】
2015.1〜 ダム工学会 活性化推進小委員会 委員

(平成29年1月作成)
ご意見、ご感想、情報提供などがございましたら、 までお願いします。
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 (ダムインタビュー)
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  [テ] ダムインタビュー(39)角哲也先生に聞く「ダムのアセットマネジメントの話をするときに何か目標がいる、千年ではどうかと」
  [テ] ダムインタビュー(40)唐澤一寛さんに聞く「人にものを頼もうとする時は、こちらも誠意をもって付き合わなければいけない」
  [テ] ダムインタビュー(41)糸林芳彦さんに聞く「今は新規のダム計画がなくとも、ダム技術は常に磨いておくべき。いずれ時代の要請に応える日が来るから。」
  [テ] ダムインタビュー(42)今村瑞穂さんに聞く「ダム操作の定式化と現場適用性の向上は車の両輪」
  [テ] ダムインタビュー(43)本庄正史さんに聞く「ダムの海外展開は、現地社会に貢献するという、貢献がキーワードだと思います」
  [テ] ダムインタビュー(44)石田哲也先生に聞く「何か起きたときのリスクのあるシナリオをきちんと一般の人に伝えていかないと」
  [テ] ダムインタビュー(45)古川勝三さんに聞く「今こそ、公に尽くす人間が尊敬される国づくり=教育が求められている」
  [テ] ダムインタビュー(46)入江洋樹さんに聞く「水を大切にするという日本人の心の原点を守り、継承していけば1000年先もダムは残っていく」
  [テ] ダムインタビュー(47)島谷幸宏先生に聞く「設計をする時に環境設計と治水設計を一体的にすることが一番重要なのです」
  [テ] ダムインタビュー(48)吉津洋一さんに聞く「先人から受け継いだ素晴らしい‘くろよん’をしっかり守り、引き継いでいきたい」
  [テ] ダムインタビュー(49)足立紀尚先生に聞く「ダムの基礎の大規模岩盤試験を実施したのは黒部ダムが最初でした」
  [テ] ダムインタビュー(50)山口温朗さんに聞く「徳山ダムの仕事はまさに地図にも、私の記憶にも残る仕事となりました」
  [テ] ダムインタビュー(51)安部塁さんに聞く「新しい情報を得たらレポートにまとめてダム便覧に寄稿しています」
  [テ] ダムインタビュー(52)長瀧重義先生に聞く「土木技術は地球の医学、土木技術者は地球の医者である」
  [テ] ダムインタビュー(53)大田弘さんに聞く「くろよんは、誇りをもって心がひとつになって、試練を克服した」
  [テ] ダムインタビュー(54)大町達夫先生に聞く「ダム技術は、国土強靱化にも大きく寄与できると思います」
  [テ] ダムインタビュー(55)廣瀬利雄さんに聞く「なんとしても突破しようと強く想うことが出発点になる」
  [テ] ダムインタビュー(56)近藤徹さんに聞く「受け入れる人、反対する人、あらゆる人と話し合うことでダム建設は進められる」
  [テ] ダムインタビュー(57)小原好一さんに聞く「ダムから全てを学び、それを経営に活かす」
  [テ] ダムインタビュー(58)坂本忠彦さんに聞く「長いダム生活一番の思い出はプレキャスト型枠を提案して標準工法になったこと」
  [テ] ダムインタビュー(59)青山俊樹さんに聞く「相手を説得するのではなく、相手がどう考えているのかを聞くことに徹すれば、自然に道は開けてくる」
  [テ] ダムインタビュー(60)中川博次先生に聞く「世の中にどれだけ自分が貢献できるかという志が大事」
  [テ] ダムインタビュー(61)田代民治さんに聞く「考える要素がたくさんあるのがダム工事の魅力」
  [テ] ダムインタビュー(62)ダムマンガ作者・井上よしひささんに聞く「ダム巡りのストーリーを現実に即して描いていきたい」
  [テ] ダムインタビュー(63)太田秀樹先生に聞く「実際の現場の山や土がどう動いているのかが知りたい」
  [テ] ダムインタビュー(64)工藤睦信さんに聞く「ダム現場の経験は経営にも随分と役立ったと思います」
  [テ] ダムインタビュー(65)羽賀翔一さんに聞く「『ダムの日』を通じてダムに興味をもってくれる人が増えたら嬉しい」
  [テ] ダムインタビュー(67)長谷川高士先生に聞く『「保全工学」で、現在あるダム工学の体系をまとめ直したいと思っています』
  [テ] ダムインタビュー(66)神馬シンさんに聞く「Webサイト上ではいろんなダムを紹介する百科事典的な感じにしたい」
  [テ] ダムインタビュー(69)魚本健人さんに聞く「若い人に問題解決のチャンスを与えてあげることが大事」
  [テ] ダムインタビュー(70)陣内孝雄さんに聞く「ダムが出来たら首都圏の奥座敷として 訪れる温泉場に再びなって欲しい」
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 (星野 夕陽)
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