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ダムインタビュー(44)
石田哲也先生に聞く
「何か起きたときのリスクのあるシナリオをきちんと一般の人に伝えていかないと」

 道路や橋、堤防やダムといったインフラ整備には欠かせないコンクリートですが、「コンクリートから人へ」というスローガンがもてはやされたことで、コンクリートには何かよからぬイメージがついてしまったようにも思えます。本来は「コンクリートは人を守るもの」で、社会を支えている縁の下の力持ちのはずです。

 今回のインタビューは、コンクリート工学を第一線で研究されていて、学生や若い人にもっと身近にコンクリートについて触れてもらいたいとの思いで「マンガでわかるコンクリート」を書かれた石田哲也先生(東京大学工学系研究科社会基盤学専攻准教授)に、そもそも“コンクリートとは何か?”について、いろいろお話を伺いながら、傷ついてしまったコンクリートのイメージをすこしでも修復できればと思います。

 数千年の歴史があるとされるコンクリートは、人類が手にした土木材料の中でも古いものの一つではないでしょうか。古代ローマの時代から道路や橋といったインフラを支えてきた素材としての魅力や、ダムとコンクリート、未来のコンクリート開発に至るまで、コンクリートの中身を語っていただきます。
(インタビュー・編集・文:中野、写真:廣池)





コンクリートは自然素材で、100%国内自給

中野: そもそも、コンクリートとは何ですか?

石田: セメント、砂、砂利、水を混ぜ合わせたもので、我々のごく身近にある4つの材料でできたものです。セメントの主成分としてのカルシウム以外は、全部地球の地殻部分にまんべんなく存在している物質です。コンクリートは、何か人工的なものというイメージがありますが、実は自然素材で作られる建設材料なのです。砂や砂利は、とれた地域によって微妙に性質が違いますので、同じ分量で混ぜても性能や品質に違いが出ますし、4種類の材料の比率を変えることで、様々な性質を持つコンクリートが出来ますから、建築材料としてはたいへん使い勝手の良い、また奥の深い面白い材料だと言えます。

中野: セメントはコンクリートの材料なんですね。ではコンクリートとモルタルはどう違うのですか?

石田: コンクリートにはセメント、砂(細骨材)、砂利(粗骨材)、水の4種類が入っていますが、モルタルはセメントに砂と水だけ。粗骨材といわれる砂利がありません。コンクリート工学の初歩的な内容を扱う講義で、学生に対して「セメントと水だけでも固まるのに、なぜコンクリートには砂と砂利を使うのかを説明せよ」という問題を出してみると、単純な話のように思えるのですが、案外、間違った答をする学生がいます。ポイントは、セメントと水を練るだけでも当然固まるのですが、それだけだと多くの熱を出しますし、乾くと非常に縮まってしまうので、例えばひび割れがバリバリ入ってしまいます。物理的・化学的に堅牢な材料にするためにも、自然素材である骨材をできるだけ使うというのが建設材料として重要なところです。
 コンクリートは自然素材で、しかも国内で100%自給しています。だから石油やレアメタルのような資源と違って、どこの国でも大量に製造できるものなのでインフラ整備に利用するにはとても便利なのです。アジアやアフリカなどの途上国に行っても、コンクリートの製造現場を必ず見ることが出来ます。そういったところに行って、コンクリートを作る様子を見るのも結構楽しいです。

化学反応で固まる

中野: なるほどコンクリートは人工物ではなく、自然由来の素材を活用したものなんですね。では、固まるのはどうしてでしょうか?混ぜた水が乾くと固まるのですか?

石田: コンクリートについて、乾くと固まるというのは多くの人が持っている間違ったイメージで、実際にはコンクリートは水分があって湿っていないと固まりません。セメントと水との水和反応が続くことで固まるのです。少し詳しくお話しすると、セメントの材料は酸化カルシウムとシリカ(二酸化ケイ素)の化合物ですが、それが水と反応して固まります。そういう性質を水硬性といいます。一方で、水中では固まらずに空気中においてのみ硬化する性質を気硬性といいます。石膏などは代表的な材料です。さらに水とは反応せず、二酸化炭素だけを相手にして反応するカルシウムとシリカの化合物もあります。近年では、温室効果を持つガスとして厄介者である二酸化炭素ですが、このような物質と反応させて、CO2の有効利用を図りながら建設材料に使用するというアイデアも研究されています。

中野: 化学反応のことになると難しいですね。(笑)工事現場にコンクリートを運んでいるアジテータ車のドラムがぐるぐる回っていますが、あれは固まらないようにするためですね。生コンの“生”というのは、どういう意味ですか?

石田: 英語からきているようでフレッシュ・コンクリートの、フレッシュ、つまり新鮮な、固まらないという意味なのでしょう。一般に、生コンといっているのは、レディーミクストコンクリートといって、砂、水、砂利などが混ぜられ、このまま打ち込みができる状態で現場に運ばれます。これを略してレミコンといっています。
 生コンクリートは、輸送中でも適度な撹拌を行わないと骨材や水が分離して、均一でなくなってしまうので、アジテータ車はドラムをゆっくりと回転させて、撹拌しながら打設現場まで運んでいるのです。


一番古いコンクリートは約9000年前につくられた

中野: コンクリートの歴史ですが、いつ頃から使われているのですか?

石田: 一番古いのは、イスラエルの南ガレリア地方にあるイフタフのコンクリートと言われています。約9000年前に作られたということです。ただし真偽のほどについては諸説あります。一方中国では、5000年前のものと言われる西安の近くで見つかった大地湾のコンクリートなどが発掘されています。

中野: 製造法は、昔も今も変わらないのでしょうか?

石田: セメントは、石灰石と粘土を混ぜておよそ1400℃という高温で焼いて作られるのですが、中国の大地湾で見つかったコンクリートは今ほど高い温度ではなく、だいたい900℃ほどで焼成したのではないかといわれています。その地域で産出される「料きょう石」という石は、ケイ石質の不純物を含む石灰石で、セメント製造に必要な成分を含む特殊な石だったのです。当時それを焼いていた窯も見つかっています。

本格的なコンクリートの利用は古代ローマから

中野: たまたま材料となる石を焼けばすぐにセメントになる「料きょう石」があったので、コンクリート材料として使われていたのですね。すごい発見ですね。

石田: 焼けばできるものでしたが、材料がその地域だけの特殊な石でしたから、中国全土には広がっていかなかったのでしょう。本格的なコンクリート(セメント系材料)の利用は、やはり古代ローマのコンクリートです。ローマ帝国が発展していく過程で、軍団が領地内を迅速に移動するための街道ネットワーク、疾病予防等の衛生環境の維持に大きく貢献した上下水道、また浴場や神殿、公会堂などの様々な公共建築物が建造されていきました。これらのインフラを支えたのが古代ローマのコンクリートです。
 また古代ローマにおいてインフラが如何に重要視されていたかを示す、あるエピソードを紹介しますね。ローマの皇帝が他国との戦争に勝って本国に戻る際、その業績をたたえて凱旋門が建設される訳ですが、パックスロマーナの時代を迎え地域が安定的な平和を迎えると、当然戦争自体が段々となくなっていきます。それにも関わらず、平和を享受した時代につくられた凱旋門もたくさん残っています。それはなぜか。実は街道を整備したり、新しい街を建設したりした皇帝に対し、凱旋門が贈られたと言います。他国に勝利することとインフラ整備をすることが同等に扱われていたというのは大変興味深い話だと思います。塩野七生さんの著書「ローマ人の物語」は多くの方が既にお読みと思いますが、「人間が人間らしい生活を送るために必要な大事業」として、ローマの人々がどのようにインフラを考えていたのか大変勉強になる著作です。毎年学生にも読むことを強く薦めています。

ローマ文明を支えたのはコンクリート

中野: 古代ローマには高い技術力があったのですね。コンクリートの耐久性についてですが、どのくらい持つものでしょうか?

石田: コンクリートの構造物がどのくらいもつのかということは、水がものすごく影響するのです。コンクリート構造物の劣化の多くは水が関与していて、極端な話、カラカラに乾いていれば、相当な時間、耐えることができます。再び塩野七生さんの本の話になりますが、ローマのエンジニアのモットーに「水は敵」というものがあると書いてありました。ローマの街道では、水はけをよくすることが非常に重視され、道路の断面に勾配をつけて、きちんと排水できるようにしていたと言いますし、橋も排水溝(水まわり)の処理が丁寧に施されていると聞いています。まさにエンジニアリングの観点からも現代に通用するエピソードで、大変興味深い話でした。このように、社会制度から個別のエンジニアリング的な話まで、幅広い視点からインフラを勉強することができるので、「ローマ人の物語」を学生と一緒に読みながら、あれやこれやと議論を交わす少人数セミナー形式の講義を行っています。

中野: ローマの話は、土木を学ぶ学生にとっても興味がありそうですね。具体的にはどういうものを学ぶのですか?

石田: ローマ時代に造られた道路をインフラの象徴としてとらえてみると、われわれが使っているインフラの言葉の意味、その意義や重要性、その考え方や技術的なものは、有名な言葉の通り、すべてローマに通じているのです。まさに「ローマは一日してならず」「すべての道はローマに通ず」です。ローマ時代の文明を支えたのは、まぎれもなくコンクリートであり、それによってつくられた多くの構造物群は、遺跡としてヨーロッパ全域に残っています。

コンクリート構造物の耐久性

中野: そうした遺跡の古代ローマのコンクリートの耐久性はどうですか?

石田: アウグストゥスの別荘とも言われる遺跡がソンマヴェスヴィアーナで発掘されていますが、邸宅に使われたコンクリートも発見されており、1000年以上経過した現在でも健全であることが分かっています。現在のコンクリートとの違いは、古代ローマのコンクリートはゆっくりと固まっていくものでした。産出する良質な火山灰をセメントに混入することで、強度や水密性に優れたコンクリートをつくることができたようです。また構造物の形式としては、アーチ構造が主のため圧縮力が作用するものですから、現在の鉄筋コンクリートのように引張に抵抗する補強材を入れる構造ではありません。


日本におけるコンクリートの夜明け

中野: 大仏殿などもそうですが、日本の建造物には「木」が使われて来ましたが、いつ頃から本格的にコンクリートが使われだしたのですか?

石田: 日本で建造物にコンクリートの使用が広まったのは、明治以降でポルトランドセメントの技術が導入されてからです。当時は、近代国家を目指して数多くの土木建造物をつくっていきました。

 日本のコンクリートの歴史を語るには、まず廣井勇博士が総指揮を執った小樽港築港プロジェクトがあげられます。廣井博士は札幌農学校の出身で、同期に内村鑑三や新渡戸稲造がおりますが、我が国初の大規模な近代港湾工事を小樽で実施しました。当時先進的な材料であったセメント系材料の長期耐久性を実証するために、6万個に及ぶテストピースが作られています。当時のセメントは高価であったこともあり、火山灰が積極的に使用されていますが、火山灰特有の反応メカニズム(ポゾラン反応)をうまく利用することによって、厳しい海洋環境でも優れた耐久性を示しています。

 数年前に小樽港湾事務所にある資料館を訪問したのですが、そこには廣井博士ゆかりの歴史的にみて貴重な資料がたくさん並んでおりました。


小樽北港防波堤(廣井勇博士のプロジェクト)
 数々の展示品を見ていく中で、一つガーンと衝撃を受けた言葉を見つけました。それは「コンクリートは強度よりは密度に重点を」という文言です。コンクリートを製造する際、あるいは使用する際に、その性能を代表するものとして強度が使われています。一般に、強度が高ければ耐久性など他の性能も優れていると考えられます。また施工の合理化を行う上で、初期強度の出方に関心がある向きもありました。しかしながら、若い材齢で強度を早く出すことばかりに目が行ったが故に、ひび割れの発生や耐久性上の問題が出ることも報告されるようになりました。廣井博士の強度より密度、というのは非常に重要な言葉で、コンクリートの本質は密実さ、密度であり、強度は結果としてついてくるという意味だと思います。コンクリート工学の夜明けともいえる段階において、本質を喝破されたことは凄いことだと思いました。

なぜコンクリートを研究しようと思ったか?

中野: 石田先生がコンクリートを学ぼうと思われたきっかけを教えて下さい。

石田: はじめは、何となく都市工学を専攻しようと思っていました。ただ東大・理科一類の教養課程で色々と情報収集しているうちに、土木工学のほうが分野として扱う幅が広いのではと思い、進学することにしました。東大の場合は、教養課程に所属する2年冬から、進学内定先の専門講義を受け始めるのですが、その中で磯部雅彦先生による基礎流体力学の講義には鮮烈なインパクトを受けました。駒場・教養課程の難解な講義とのギャップもあったのですが、一見難しく見える数式を理路整然と極めてわかりやすく、また実現象との対比も適宜行ってくださったので、恥ずかしながら大学に入学して初めて講義に魅了されました。自然現象を数式化すること、また連続体として解く理論体系に強い興味を持ったのです。それから、3年になって前川宏一先生のコンクリート工学の面白さ、さらに岡村甫先生の少人数セミナーに参加して、自然科学のみならず歴史や人間学といった社会科学も対象とした議論がとても面白かったので、研究室をどこにするかかなり迷ったのですが、最終的にコンクリート研究室にいくことに決めたのです。

中野: 海岸研究室とコンクリート研究室のいずれかで、迷われたのですね。

石田: 先ほどもお話ししたように、磯部先生の講義と、コンクリートの講義が面白かったので、非常に迷いましたね。ただ水や気体の流れとか、連続体の理論などについては興味を持っていたので、最終的にはコンクリート研究室に進み、テーマとしてコンクリート内部の物質移動をやらせてもらうことにしました。ただしミクロな多孔体から構成されるコンクリートの中の気体や流体の流れは、極めて緩慢なものであるため、ナビエストークスの世界とは随分と異なるものであることに後で気が付きましたが(笑)。ただし研究を進める中で、ナノメートルスケールで生じる熱力学的な話と、物質移動が強く関連しあうという別の面白さを発見しました。

コンクリートの可能性

中野: コンクリートの魅力、面白さはどんなところにあるのでしょうか。

石田: 著名な建築家の内藤廣先生という方が、少し前まで我々の学科に所属されておりました。「構造デザイン講義」という先生の講義をまとめた大変勉強になる本があるのですが、そのなかで「鉄は父性的、コンクリートは母性的」という面白い記述があります。内藤先生によれば、コンクリートは少々整合性に欠けていても、また不整合な点があったとしても、システムとしてうまく許容したり受容したりする懐の深い材料である、とのことです。そのような懐の深さが、母性的というメタファーなのでしょう。私はそれに加えて、コンクリートの限界を超えた時の強さも母性につながるのではないかと思っています。男性は強く見えるものの、挫折に対して立ち直れないといった弱いところがありますが、女性、特に母は強いですよね。一見すると、か弱く見えるかも知れませんが、芯は強くタフでたくましい。男性はとてもかなわない(笑)。スティールの構造では、限界を超えた際に時折脆い破壊を見せるけれども、鉄筋コンクリート構造の場合は、ひび割れがすぐに入るかもしれませんが、割合に粘り気をもって外力に抵抗するという面があります。タフな構造であると言えます。
 コンクリートだけだと圧縮には強いけれど、引張りに対して弱いところがある。しかし鉄はそうではない。それぞれが組み合わさると強くなるのです。組み合わせの妙で、単純に1+1=2ではないという要素がたくさんあります。ここがなかなかに面白い点だと思っています。

コンクリートは環境に優しい材料

中野: 近頃、エコセメントというのがありますがどういうものですか。都市ごみの焼却灰などを原料として作る新しいタイプのセメントということですが。

石田: そうですね。エコセメントは石灰石や粘土、けい石といったバージン材料の代わりに焼却灰や汚泥を原料としているものなので、環境面で非常に優れた材料です。一方で、実は広く使われている普通ポルトランドセメントも、最近ではかなりの廃棄物を受け入れて原料として活用しているのです。また石炭火力発電所から排出される「フライアッシュ」という灰や鉄鋼製品を製造するときに生まれる「高炉スラグ」という副産物なども原料として使用されており、産業廃棄物の有効活用に貢献しているのです。建設投資が減ってセメントの生産量が減ると、実は廃棄物や副産物の行き場所が無くなってしまう、ということが心配されるくらい、多くの量を受け入れています。だから、コンクリートというものは、かなり資源の循環に貢献している材料と言えます。


中野: 水がないと固まらないコンクリートですが、もしも月面基地を造るとしたら水がない環境で固まる宇宙コンクリートはできますか?

石田: 月面にはセメントの原料となる成分を含む岩石が存在するので、地球から水素を運んで、月の岩石内部にある酸素を取り出して水を作ることが考えられています。夢がありますし、考えているとワクワクしますが、まずは地球上にあるたくさんの課題を解決していかないと…。(笑)

研究室で自己充填コンクリートが開発された

中野: コンクリート研究室ではどんな研究をしているのでしょうか?

石田: 私が研究室に配属されたころ(1993年4月)は、1988年にコンクリート研究室で開発された自己充填コンクリートの研究が最盛期を迎えていました。それまでのコンクリートは、施工の良し悪しによって品質が大きく変動するものでしたが、自重のみによって型枠の隅々に詰まっていく自己充填コンクリートは、人に由来する施工の影響を排除することが可能なため、コンクリートの信頼性や耐久性が向上する画期的な材料です。当時は自己充填コンクリートの研究に携わる受託研究員の方々が大勢おられて、大変活気のある研究室でした。また社会人の方々から実験に向かう姿勢や方法などを叩き込んでいただきました。
 私が卒業論文、修士論文、博士論文と一貫して研究を行っているのが、セメント硬化体内部の微細な空隙構造中で生じる現象を、巨大な構造物の性能評価、性能予測シミュレーションにつなげるというものです。過去20年の研究室の大きな研究項目でもありました。最近は基礎研究の蓄積もあり、様々な条件に対して、コンクリート構造物の誕生から劣化までを計算機上で予測することが可能になりつつあります。異なるスケールで繰り広げられるミクロな世界とマクロな挙動を結びつけるという意味で、マルチスケール統合解析システムと呼んでいます。


ダムとコンクリート

中野: ダムにおけるコンクリートは、堤体の重さで水圧に耐える重力式コンクリートダムとか、アーチ形状によって水圧に耐えるアーチ式コンクリートダムがありますが、こうしたダム建設に使われるコンクリートはどういう配合なのですか。ビル建築に使われるものとは違うのですか?

石田: ダムで言うと、できるだけセメント量を減らして水和反応による熱(水和熱)を押さえるということがポイントの一つです。ダムはマスコンクリートといって巨大な構造物なので、施工後の早い段階で発生する「温度びび割れ」のこともしっかりと考えておかなくてはなりません。夏場など気温が高いときにコンクリートを打込む場合や、部材の寸法が大きくなる場合は、水和熱が構造物の中にたまってしまい、外気に曝された表面近くの部位と大きな温度差が生じます。それによって内部に力が発生してひび割れが起きてしまうのです。

中野: ひび割れを防ぐためにはどうしたらいいのですか。

石田: 材料の選択はもちろんですが、設計、施工上の工夫も必要です。まず発熱量が少ない混和材を使用することが有効です。また施工の際には、あらかじめ材料を冷やすプレクーリングという方法や、パイプに水を通して内部の温度を下げるパイプクーリングという方法が使われます。構造物の断面を減らして、熱がこもりにくくするというのも大事ですね。ダムの場合、コンクリートの量を減らすということを考えると、中空重力式ダム、バットレスダムという形式がありますが、個人的にはバットレスダムが形が美しいですし好きですね。

好きなダムはバットレス、黒部ダムは原点です

中野: コストがかけられるならぜひ造って欲しいダム形式ですね。小野基樹先生が設計された笹流ダムはとてもすてきなダムだと思います。

石田: 昔のエンジニアは、材料を出来るだけ節約したり、有効活用したりしながら最適な構造形式を探索していますよね。ダムに限らず、建築物などもそうですが、非常に知恵を絞って構造が決められている。技術の進歩であり工学の勝利ではあるのですが、コンクリートが安くなっていたり、ダムの施工技術が進歩している現在では、なかなかバットレスという形式はダムに選択されませんよね。どのような構造形式を選択するかは、当然ダムサイトの地形、地質などによって決まりますが、同時に何を良しとするのかは時代とともに変化しますよね。例えば人件費の大小や機械の進歩など、施工上の条件によっても変わります。バットレスは、人件費が安かった時代だからこそ手間をかけてでも作ろうとしたのですね。


笹流ダム(撮影:だい)
中野: 先生が好きなダムはありますか。

石田: 幾つかありますが、中でも黒部ダムが好きです。小学校の時に夏休みの家族旅行で行った写真が残っているのですが、黄色いコンクリートバケットの前で直立不動している自分を見ると、それが原点なのかなと思ったりします。少しこじつけかもしれませんが(笑)。現地であのアーチダムを間近で見ると本当に迫力ありますし、あのような巨大構造物を作る技術に子供心ながら強い衝撃を受けたことを覚えています。6年ほど前にも研究室旅行で訪れましたが、大人になっても感動しました(笑)。最近、黒部の太陽の映画のDVD化が解禁されたニュースがありましたが、個人的には楽しみにしています。多くの人に見て欲しいですね。

黒部ダムへの研究室旅行

研究室旅行

子供の頃の写真
時代背景とともにダムを眺めると楽しい

中野: 世の中では、ダムへの理解が深まらないのですが。何か良いお考えはありませんか?

石田: ダムはいろんな文脈を背負っていると思います。黒部ダムは高度成長期における関西エリアの電力供給の命運を握っていたという時代背景もありますし、技術的には佐久間ダムは大規模重機による近代化施工が本格的に適用されたとか、あるいは世界初のRCD工法で作られた島地川ダムだとか、日本の発展とともにダム技術が変わっていますよね。技術以外の社会との関わりまで含めると、さらに重層的なエッセンスが含まれます。その時々の時代背景やダムが抱える文脈を捉えながらダムを眺めたりすると、一層楽しいと思いますね。

何をもってダムの作り過ぎというのか

中野: なるほどダムが出来てきた背景にも目配りをせよということですね。かつて高度成長時代にダムを急速に作りすぎてしまったところもあって、今になってそれが批判のマトになっていることもありますね。

石田: 学生ともよく話すのですが、何をもってダムの作り過ぎというのか、だと思います。何事も心配のない平常時のことだけで考えると確かにそう思えるかもしれませんが、渇水や台風による洪水発生などの非常時の時まできちんと考えていますか、という見方で議論することが大事だと思います。人間は喉元過ぎれば本当に熱さを忘れます。災害のサイクルで言えば、世代も変わったりするので、如何に過去の知見を後世に伝えていくのかというのが大事ですよね。また我々の生活に潜むリスク、日常ではなかなか気が付かないリスクについては、出来るだけリアリティを持って伝えることも大事だと思います。例えばこの前の笹子トンネルのような事故が起きると、普段はスポットライトが当たらないメンテナンスの話や構造物の高齢化・老朽化が、一斉に取り上げられたりしますよね。しかし本来であれば、そういうことが起こる前に、ちゃんと予算を確保して日々メンテナンスすることがいかに大事かということを、様々なチャンネルを通じて伝えることが必要だと思います。
 また例えば八ツ場ダムの問題でも、ここ何十年かは、あの水系に台風の大雨が降らず、たまたま水害が起きてないだけなのです。高橋裕先生の本にも出ていますが、戦後の10年くらいは毎年のように大きな台風が来てそのたびに大水害が起きています。もちろんダムや堤防などの整備による治水効果は上がっているので、着実にリスクは減っているとは思いますが、気候変動のこともありますし、本当に東京の防災は大丈夫なの、という疑問が常につきまとっています。先日、元江戸川区の土木部長の土屋さんも講演されていましたが、ああいうふうに「もし今の東京に水害が起きたら?」という、いざ何か起きたときのリスクのあるシナリオをきちんと一般の人に伝えていくのは非常に重要ではないか、と思っています。

国土強靱化するには

中野: それに、リスクをわかりやすく伝えることも大事ですね。もしも大型台風が来て堤防が切れたりしたらどれだけ大変か…?

石田: 3.11の時でも、想定外という言葉がいろいろな場面に使われたりしました。当時、土木学会会長であった阪田憲次先生は、「技術者は想定外を言い訳にしてはならない」と仰いましたが、全くその通りで、色々と想像力を働かせて色々な手を打つ、また想定外を超えた残余のリスクについてもハード・ソフト両者を総動員させて、トータルのシステムとしてリスクを減らしていくというのが大事だと思います。原子力発電所の事故でも問題になっていますが、縦割りで区分されている個別の要素とか、自分のカバーする範囲のみでいくら考えても、全体としてきちんと対応できているかどうか分かりませんから、総合的に考えることが非常に重要と思っています。我々の学科でも良く議論するのですが、「土木工学」「社会基盤学」の定義は何か?ということについて、一つの回答は「土木エンジニアは、目の前にある全ての仕事を自分のこととして認識する。決してこれは俺の仕事ではない、と言わない」といった話をしています。こういうことを考えても、土木に関わる人間は総合工学に関わるエンジニアとして、一つ上の視点でものを見るのが大事だと思います。
 最近、藤井聡先生(京都大学大学院教授)が国土強靭化のお話を精力的にされていますが、強靱化にあたって必要なことの一つは、国土にインフラ機能を分散することと言われています。例えば東海、東南海、南海の連動地震が起こった場合、大津波で太平洋沿岸の港湾施設が壊滅的なダメージを受けることが考えられる。この時、バックアップ機能として、例えば日本海側の港湾施設を増強する必要がある。もし現状で太平洋沿岸の港湾が壊滅状態になったら、日本経済は完全に麻痺しますよ。その打撃の大きさはすぐにわかる話とは思うのですが、あらかじめリスク分散を考えて国土計画を行ったり、社会資本整備を行ったりする必要がある。しかし例えば、港湾施設に対する投資を増強するとか、高速道路ネットワークを整備するとかの話が出てくると、すぐにバラマキ予算だとかの批判が出てきます。しかし非常時におけるインフラの役割が極めて重要であることについて、東日本震災での教訓を踏まえても明らかですし、かなりの社会的合意が得られているように思いますから、今からどうやって備えるのかや、どこまで備えるかについて、それこそ建設的に議論しないと何にもなりません。様々な力を総動員していかないと…。

CSGはコンセプトとしてすばらしい

中野: 阪田先生も言われていましたが、櫛の歯作戦の成果とか、一気にやって効果があったというのが誰も判っていない。何かこう、ちゃんと公共事業にお金を使っていくという方向にならないものかと…。みんなで知恵を出すということになりませんでしょうか?

施工中の台形CSGダム(当別ダム)

石田: 知恵を出すという意味で、少し話は変わりますが、台形CSGダムのことを話してもいいですか?
 台形CSGダムはご存じのとおり、RCDと同じように日本独自の技術ですが、コンセプトとして素晴らしい技術と思います。それまでのコンクリートダムが、良い骨材を選択し、洗浄したり分級したりして使っていくというものだったのが、台形CSGダムは現地の発生材をそのまま使ってしまうというのが基本発想です。ただそのことにより、当然ですが材料としては、あまり品質が良くないものも含まれる。材料がよくないとコンクリートとしては強度が出ない。そこで、ここがポイントですが、材料の強度が出ないことを前提に、ダムの構造断面を台形にして外力に対してもたせるという様にしたのです。
サスティナビリティという考え方が大事だ

中野: つまり、ダムを造るのに、現地で採れた材料を無駄なく骨材に使うという、地産地消コンクリートということですね。

石田: 限りある資源をうまく使うというコンセプトからみると凄く大事なことで、環境にも優しいし、持続可能性という観点からみても非常に良い。こういったインフラのあり方を大事にすることが必要だと思います。
 東日本大震災以後の復興事業が本格化していますが、復興インフラを整備するにあたって、サスティナビリティ、持続可能性という考え方が、当然ながら重要になってきます。コンクリートの観点から問題を一つ挙げますと、急激な復興需要の増大によって、構造物を作るためのコンクリートがすごく足らないという状況があります(2013年1月現在)。なぜ足りないかというと砂の供給不足が一つの要因です。震災以前に東北地方の建設需要が減っていたので生コンの供給量全体が落ちていた。そうすると、骨材生産が減少しますし、生コンプラントの設備も減っていた。従って急に需要が増えたとしても、すぐには生産が追い付かないわけです。また今後、骨材資源を取り巻く状況は厳しくなっていきますから、コンクリートの品質や耐久性の観点で一層注意を払う必要があります。例えばコンクリートのブリージングの増大や、アルカリシリカ反応に対して手を打たなくてはなりません。

中野: 台形CSGダムだとそうならないのですか?

石田: そうですね。話が少し回りくどくなりました。台形CSGダムの場合は、まずダムの構造形式があって、こういう形にするからこういう材料を使うというのではなくて、様々な品質のバラつきを前提として、構造形式が決まっています。従って、材料が少々しんどいのであれば、そういった材料をうまく使いこなすような知恵が、トータルで必要ではないかと思っています。利用可能な材料を前提として、設計、施工などを見直すことが出来ないかということです。
 ちょっと大げさにいいますと、台形CSGというダム形式はパラダイムシフトの一つだと思うのです。なぜかというと、これは材料の有効活用を出発点にして、台形というダムの断面を決めるというやり方です。考えようによってはこの手法はいろんなところに応用できるのではないかと思います。材料の特性に基づく新しい構造形式の提案などもあり得るでしょう。自然界に存在する生物は、自身の体を構成する材料(骨、羽、殻など)の性質を、最大限活用した形になっていると言います。バイオミメティクスという分野の研究です。同じことがコンクリートでも考えられると面白いと思います。このあたりの議論は、魚本健人先生に色々教えていただいたものでもあります。

海外でのコンクリートは

中野: CSGはいろいろと研究されていますね。材料におけるコンクリートの将来像ということでは、日本で実用化された自己充填コンクリートを、大きな砕石を積んだところに流し込んで堤体を造るダムの新工法を中国・清華大学の安教授と日本の企業が共同開発したということですが、石田先生もご一緒にやられたのでしょうか?  

石田: いいえ、私はまったく関わっていません。後から話を聞いて、非常に感心した技術です。普通の発想で言えば、粉体量が多い自己充填コンクリートの技術をダムに適用するなんて考えませんが、巨大な砕石をあらかじめギチギチに詰めておいて、その間に自己充填コンクリートを流し込んでいくというのは、結局全体の構成としては粉体量(セメント量)が相当に減ります。かなり凄いアイデアですよね。安くできますし。建設技術をそのまま海外に適用するのは難しい面も多いので、そういった現地の条件に合わせた工夫が必要だと思います。

中野: 日本の技術を海外に持っていくとしたらその辺りのことをもっと考えないといけないのかも知れませんね。その辺り、海外で感じたことはありますか?


日経BPで紹介された自己充填コンクリート
石田: 昨年3月にベトナムの橋梁建設の現場に行ったときに、施工管理をしている中国や韓国のエンジニアの人に話を聞くと、そんなので本当に大丈夫なの?というような施工管理、品質管理をやっていてびっくりしました。しかしながら実際のものを見てみると、それなりにモノは出来ているので、そういう考え方もあるのかと思っています。ただ、長期スパンで考えた場合、その性能、品質管理で果たして良いのかというと、使われる環境や外力のかかり方によっても構造物の寿命は違ってくるので、話は別だと思います。

インフラの安全性



中野: 安かろう悪かろうでは困りますしね。日本でも昔そういう時期があったのではないかと思いますが。途上国でも、そういうのは真似をして欲しくないですね。やはりインフラは長期にわたり安全が求められますし、日本でも最近、笹子トンネルの事故がありました。維持管理ができていなかったのではという反省がありますが、いかがでしょうか?

石田: 個別の事例として、なぜあのような事故が起こってしまったか、といった原因追及についてはコメントする立場にありませんし、正直なところ詳細な情報が手元にないので分かりません。詳しくは事故調査委員会の発表を待つとして、あくまで一般論として言えば、当たり前の話ではありますが、設計、施工、維持管理という段階でそれぞれしっかりするということでしょう。
 例えば、設計で言えば、フェールセーフの考えを盛り込むことが重要ですね。何かまずいことが起きた場合でも、どこかで食い止めることが可能なメカニズムを予め考えておくという発想が大事です。どこか一ヶ所やられてしまうと全部がダメになるというのでは、非常によくない設計です。新設構造物では、そういう面での配慮をしたところで、コストアップはたかが知れています。それと施工上の問題というのであれば、あと施工アンカーでとくに上向きのものの接着施工はとくに難しいと聞きます。そういうところに荷重を持たせる設計も問題でしょう。

 また最近のコンクリートの標準示方書では、構造物の維持管理のし易さといった概念が、設計などでも考慮されるような枠組みになっています。今回のケースも、維持管理が難しい状況であったと聞いています。今後は、検査が実施しやすい、あるいは問題が発生しつつある場合にその予兆を発見し易い、など維持管理のし易さを考慮することが非常に重要でしょう。
 また道路を管理する主体は、国やNEXCOなどといった予算も技術者もきちんと確保されている組織だけではなく、小さい自治体、町村などもあります。そういったところが管理するインフラを今後どのように維持管理していくのか、といった話はとても気になります。

中野: 予算がない、人がいないという中で、何か良い方法はないのでしょうか?


石田: 長崎大学や岐阜大学などを中心として、インフラの技術者養成を行うプログラムが実施されていますので、そういった動きが今後大事になるでしょう。長崎大学が行っている道守養成ユニットの場合には、一般の人も巻き込んで、日常使っている橋などに異常があった場合、知らせてもらおう、管理していこうという動きです。自分たちが使うものを自分たちで何とかしていこうという考えは、おそらく日本が昔からコミュニティでやってきたやり方なのではないかと思います。

成果=質×量という考え方

中野: 先生は、高校生にも出張授業をされているそうですが、何か若者に伝えたい言葉はありますか?

石田: 私自身が大学時代、恩師である岡村甫先生からお聞きした内容を、自分なりに咀嚼して、高校生に伝えるのですが、よく話す一つは、「手段」と「目的」を明確に意識しなさい、ということです。僕らは良く、目的を達成するための手段がいつの間にか目的になってしまうという、「手段の目的化」という罠に陥ります。高校生に対しては、受験勉強のやり方を例に上げるとスッと入ってもらえるのですが、例えば私は高校2年の時に、一日自宅で5時間勉強することを自分自身に課しました。山梨県の田舎の県立高校でしたし、部活動でトランペットばかりを吹いていましたので、まずは全国レベルに学力を上げることを目指したんですね。最初はそれなりに成果が上がりましたが、ある所から成績が伸び悩んだ。その理由を分析してみると、「5時間勉強をする」ということが目的となっていて、内容が必ずしも良くなかったのです。これは卑近な例ですが、常に様々な場面で、一体この本来の目的は何だろう?ということを考えるようにしています。
 また岡村先生はご存じのとおり、東大野球部の歴代最多勝投手(17勝)という輝かしい成果を上げた方ですから、全ての教えが野球をベースにされています。研究も野球と関連付けて話をされます。先ほどの話に関連する教えとして、成果は量と質の掛け算である、ということを仰られます。例えば、質の悪い練習をどれだけやっても効果がないだけでなく、むしろマイナスになる例もあるということです。例えば、うさぎ跳びをたくさんやっても、膝を傷めてしまうだけでむしろ悪くなる、といった具合です。先ほどの事例をもう一つ出しますと、量をこなすことが目的となってしまうと、勉強の質としては最悪です。また量を倍にするのはすごく大変ですが、質を倍に高めるというのは考え方によってはできるということです。日常から、仕事を行う際にも、常に意識しているポイントです。その他にもたくさんあるのですが、また別の機会に…

コンクリートの未来

中野: コンクリートの未来は明るいのでしょうか?

石田: 僕自身は、確かにコンクリートの研究を中心に行っていますが、コンクリートだけの専門家のつもりはなく、社会基盤学の専門家あるいは技術者になりたいと思っています。最近では、「最先端・次世代研究課題支援プログラム」というものに採択されて研究を行っているのですが、その内容は、コンクリートを対象にして開発してきた材料モデルや解析コードを、地盤環境の評価や微生物反応の追跡などに応用することを試みてみます。自分はコンクリート屋だ、地盤屋だ、構造屋だ、といった研究上の垣根をできるだけ無くしていきたいと思っていますし、我々の学科では学生の教育カリキュラムとしても専門分野を深める講義だけでなく、複数の専門学問を駆使しながら、問題解決にあたるような能動的演習講義を提供しています。
 そういった教育上の工夫や、「国際プロジェクトコース」といった新しい看板を掲げることが功を奏したのか、うちの学科は有難いことに東大工学部の中でも高い人気がある状況です。東大の場合は、1、2年のうちは理科I類といったように、教養学部でみんな一緒に過ごすのですが、3年で分かれてそれぞれの専門分野を選択します。2年の半ばまでの成績によって、どこの学科に進学可能か決まってきますが、現在うちの社会基盤学科は工学部の中でもトップレベルの点数が必要で、中でも国際プロジェクトコースは工学部で最も人気のある分野となりました。将来海外で活躍したいという学生が多くいるようです。我々も国際舞台で活躍するエンジニアの養成を狙って、新しい教育メニューの開発などを行っています。優秀な若い人材が来る分野の未来は、明るいのではないでしょうか。

中野: 本日は貴重なお話をありがとうございました。



(参考)石田哲也先生 プロフィール

石田 哲也 (いしだ てつや)
東京大学工学系研究科社会基盤学専攻准教授

<学歴>
平成2年3月 山梨県立都留高等学校理数科卒業
平成6年3月 東京大学工学部土木工学科卒業
平成8年3月 東京大学大学院工学系研究科社会基盤工学専攻修士課程修了
平成11年3月 東京大学大学院工学系研究科社会基盤工学専攻博士課程修了

<職歴>
平成11年4月 東京大学工学系研究科 助手
平成11年10月(財)日本学術振興会海外特別研究員,Department of Civil Engineering, University of Toronto(平成13年9月まで)
平成14年1月 東京大学工学系研究科 講師
平成15年10月 東京大学工学系研究科 助教授(平成19年4月より准教授)

<受賞歴>
平成9年 日本コンクリート工学協会論文賞(前川宏一博士,岸利治博士,ラジェッシュ・チョーベ博士と共同)
平成10年 土木学会論文奨励賞(単独)
平成12年 前田工学賞(年間優秀博士論文賞)(単独)
平成12年 土木学会吉田賞(論文部門)(前川宏一博士と共同)
平成13年 fib Awards: Diplomas to Younger Engineers (単独)
平成14年 土木学会論文賞(岸利治博士,前川宏一博士と共同)
平成16年 日本コンクリート工学協会論文賞(前川宏一博士,岸利治博士と共同)
平成17年 土木学会論文賞(前川宏一博士,朱銀邦博士,浅本晋吾博士と共同)
平成20年 土木学会論文賞(李春鶴博士と共同)
平成21年 社会マネジメントシステム学会最優秀論文賞(Raja Hussain博士と共同)
平成21年 IABSE Prize(単独)
平成23年 土木学会出版文化賞(前川宏一博士,岸利治博士と共同)
平成23年 土木学会吉田賞(論文部門)(佐川孝広博士,Yao Luan博士,名和豊春博士と共同)

(2013年4月作成)
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